先日、私に相談してきた方は、大手レコード会社で音楽プロデューサーをしています。彼の仕事はもちろんヒット曲を量産することです。多くの皆さんに愛される歌手を発掘して、その歌手に合った作詞家や作曲家の作品を歌わせることです。仕事の目的は明確ですが、素人の私が考えても大変な仕事だろうと想像がつきます。

 

まず、1年間にデビューする歌手の数は、ここ10数年間、300人から500人の間で推移しています。平均すると毎年約400人の新人がデビューしています。その中で来年も再来年も10年後も生き残っている歌手は、片手に満たない数でしょう。歌手としてデビューするだけでも何万人も希望者がいる狭き門です。その中でも100人に1人に満たない人が、国民から歌手として認知されて生き残れるのです。その原石を見つけることは至難の業になります。

 

この男性はアメリカの有名音楽大学出身で、自分でもプレイヤーとして演奏活動をしてきました。したがって曲の良し悪しを判断する確かな耳を持っています。また、近年の音楽のトレンドや嗜好もしっかりと理解しています。ですから歌の上手い歌手を見つけることは難しくないと言います。しかし、ヒット曲を出せる歌手を見つけるのは難しいのです。もっと言えば、ヒット曲が出て、歌手が売れれば、どうして売れたのかその理由を後付けで説明することは出来ます。しかし、有名な歌手を何人も育てたと言われている彼をもってしても、「今でも誰が売れて誰が売れないのか、前もってそれを判断することは出来ない」と言います。

 

歌手ですから歌が上手いのは当たり前です。イケメンやかわいい女性も良いのですが、どれだけ美人で歌が上手くても、それだけで曲がヒットするとは限らないのです。人気のあるテレビドラマとタイアップして、何千万円もお金を払って、ドラマの主題歌になったとします。主題歌に選ばれて、テレビ番組やラジオ番組でプロモーションを展開します。イベント会場を積極的に回って、手売りでサイン入りのCDを売ります。SNSでも宣伝費を支払って、広告活動を展開します。そこまでやっても売れないこともあるのです。

 

以前、芸能プロダクションの方の相談を受けた時にも同じように話していました。俳優やタレントを希望して契約をした新人に、会社は演技指導などのレッスンをさせて、さまざまな媒体にプロモーションをかけてデビューさせます。しかし、誰が見ても美人で演技も上手い女性が、何度、オーディションを受けてもまったく合格できないで埋もれてしまうこともあるそうです。その方も、「どうしてこの人が売れたのか」また「どうしてこの人が売れないのか」、それが明確に分からないことがほとんどだと言います。逆に言えば、「それが分かれば苦労しません」と言い切りました。

 

だから音楽プロデューサーも芸能プロダクションの人も私のような人間に相談に来るのです。デビューに当たって会社は大きなお金を投資します。それがもし、無駄金になってしまえば、会社は大損害ですし、それが度重なれば、自分の信用を失い自分の方が解雇されてしまいます。ヒットするかどうか、なぜわからないのかと言えば、そこにははっきりとした理由のない“目に見えない力”が働いているからです

 

この目に見えない力を身につけている人が、いわゆる“持っている人”ということになります。何かが成就するとき、それが大きなものであればあるほど目に見えない力を身に付ける必要があります。霊的なものの悪影響は、この目に見えない部分の足を引っ張ります。逆に自分の意識の状態が良くなるとこの目に見えない部分がプラスに稼働し始めるのです。この目に見えない力を自分にとってプラスに作用させるためにも、常に自分の意識を良い状態に置いておくことが必要になります。