最近、人間関係についての相談をよく受けます。それも仕事や友人関係、ご近所トラブルなど、他人との関係ではなく、親子、兄弟、夫婦といった近いところの人間関係で悩んでいる方がたくさんいるのです。私が人間関係の相談を受けたときに、最も注目するポイントは、お互いの霊的な波長です。霊的な波長は指紋と同じように各人で異なります。そしてこの波長は特別な例外を除いて、生まれてから死んだ後まで変わることはありません。
この波長はその人の考え方ではなく感じ方をつかさどるものです。考え方は自分で意識して反復する中で変えていくことができます。いつも物事に批判的な考えの人が、こういった訓練を積むことによって肯定的な考えに変わることはできます。いつも消極的だった人が、積極的な人間へ変わることも可能です。ただし、感じ方を変えることはできません。駅前の喫茶店のコーヒーが大好きな人がいます。会社の上司から隣町の喫茶店のコーヒーの方がおいしいとどれだけ力説されても決して納得することは出来ません。自分がおいしいと感じた感覚は、どれだけ訓練を積んでも自分の味覚が変わらない限りは、変わることはないのです。これは味覚に限ったことではありません。音楽でも美術でも自分が好きなアーティストは、自分にとっては最高であっても、その良さを感じない人にとっては意味を持ちません。
つまり、お互いの波長が離れている関係では、自分が意図して相手に合わせて行かない限り、良好な人間関係を作ることはできません。しかし、いつも自分が相手の気持ちを忖度して一方的に相手に合わせることは、大きなストレスを生みます。ストレスが続けば、いつか気持ちが折れるか、身体を壊すかそのどちらかしかありません。つまり、波長が離れている関係では、どれだけ努力をしても仲良くやっていくことは出来ないのです。波長は生まれてから死んだ後まで変わりませんから、この関係性も生涯、変えることはできません。
「両親と昔から確執があって、仲良く暮らしていくことができません。どうしたら両親と上手く接していくことができるのでしょうか?」或いは
「夫との関係が悪くて、家にいてもほとんど口をききません。具体的に不満があるわけではないのですが、どうしたら良い夫婦関係を作ることができるでしょうか?」
このようなご相談が最近多いように思います。
たとえば多くの親子や兄弟は仲良く暮らしています。ときどき親子兄弟であっても他人以上に仲の悪い人たちがいますが、そういったケースは全体の中では少数派です。仲の良い親子兄弟が多いのは、血のつながりがあるからではないのです。血のつながりがあることで波長が近いことが多いからです。したがって親子兄弟でも波長が離れていれば、感じ方が異なりますので本質的に上手くやっていくことは出来ないのです。さらに感じ方が違う者同士が親子兄弟ということで一つ屋根の下に暮らしていますから、事あるごとに対立して反目し合うことになります。その結果、お互いの溝をさらに深めてしまうのです。ですから他人よりも仲の悪い親子兄弟が出来上がります。
私は先ほどのような質問に対して、波長を感じ取った上ではっきりと答えることがあります。
「申し訳ありませんが、仲良くやっていくことは無理です。この状態は将来的にも変わりません」と。それでも親子兄弟であればそのご縁を切ることは出来ません。そうであるならせめて今以上に関係を悪くしない方法は、お互いの距離を離して、最低限のコミュニケーションで関わって行くしかないのです。距離が離れていれば関わる回数が減りますから、ぶつかる頻度も下がります。そうやってこれ以上お互いの溝を深めないことしか対応策はないのです。