先日、出張鑑定でお邪魔した家で、お仕事のことや親族との人間関係などについてリビングで話をしていました。家には私に相談するこの家の奥さんと私の二人だけがいました。私たちは、リビングのテーブルを挟んで向かい居合わせに座わりました。そのとき急に地震が起こりました。地震の多くは、最初は小さな揺れから始まって、徐々に大きな揺れが襲ってきます。ただ、この時の揺れ方は、突然ガツンと大きく揺れて、すぐにそれは収まりましたが、15秒後にまた突然、ガツンと大きな揺れがやってきて収まったのです。変な揺れ方だとは思いましたが特にそこは気にしませんでした。体感では震度3ぐらいはありました。私と奥さんは思わず顔を見合わせて、「地震ですね」とつぶやきました。奥さんは「何か変な揺れ方ですね」と、そう言いながらテレビのスイッチを付けました。地震が起こればすぐにテレビの画面には地震の震源と震度が表示されます。奥さんはそれを確認しようとしたのです。私もテレビを見ながら、”震源はどこだろう”と、ぼんやりと考えました。

 

しかし、いくら待っても画面に地震の情報は表示されません。奥さんはテレビのリモコンを手に取っていぶかしげに、チャンネルを替えて地震の速報を探しました。しかし、結局どこのテレビ局でも地震の速報は放送されませんでした。私たちのいる場所で震度3ぐらいの揺れを感じたということは、もし震源が離れていれば、震度5以上の地震が発生した可能性もあります。それがテレビで表示されないことはありません。

「おかしいですね、どこの局も地震のニュースが流れませんね」

奥さんもそういって不思議がりました。

 

私たちはまた、話題を本来の相談内容に戻して話を続けました。そして、10分程すると、また部屋が突然ガツンと大きく揺れました。先ほどと同じように体感は震度3ぐらいです。しかし、今回も一度大きく揺れた後はピタリと揺れは収まりました。奥さんはまたテレビのスイッチを入れて地震の速報が表示されるのを待ちました。私はここにきて、この揺れが地震によるものではないと感じました。テレビの画面には案の定、いつまで経っても地震の速報は映りません。さらにしばらくすると映っていたテレビの画面が、誰もリモコンに触っていないのに突然真っ暗になってスイッチがオフになったのです。

「なんですか、シュンさん、これ!」

奥さんは驚いて悲鳴を上げました。

私は落ち着いて話しました。

「霊現象です。照明も消えるかもしれません」

私がそう話した瞬間に点灯していたリビングの照明が切れて真っ暗になりました。

奥さんは「ええっ!」と大きな声を上げた後、言葉が出ませんでした。しばらくして奥さんは絞り出すように声を出しました。

「この家が何かに祟られているのですか?」

私は冷静に答えました。

「この家の土地が良くありませんね。しっかりと祓うとか結界を張るなど、何か対策を講じないとここに住んでいる皆さんにももっと強く影響が出ると思います」

奥さんは私の言葉に驚いて訊き返しました。

「でも、今まで10年以上ここに住んでいますが、こんなことは一度もありませんでした。どうして急にこうなったのでしょうか?」

私は青くなった奥さんの顔を見ながら静かに話しました。

「それは今日、私がここに来たからです。今日のご相談の仕事や人間関係についても、ここに憑いているものの悪影響によって足を引っ張ららています。ただ、今までこの土地に棲んで、静かに悪影響を与えていた者は、今日、私が来たことによっていずれ正体が暴かれることが分かったはずです。それで先手を打って、私に自分の力を誇示するためにこういったことをしてきたのです。かなり力の強いものです」

私もそうですが、奥さんもまさか今日、このような話になるとは思ってもいませんでした。霊的な問題は私のような人間がその場所に立つことで、馬脚が剥がれてはっきりとした形で顕在化されることが良くあるのです。