家に縛られる理由はさまざまにあります。ご先祖の問題など、何かの因縁因果によってその家に引っ張られるケースは良くあります。ご先祖に問題はなくても、自分の前世や過去世からくる因縁因果によって、その家に呼び込まれることもあります。私が観てきた中では、過去世で自分が人を殺していた土地(=場所)に引き寄せられていた人がいました。殺された相手の魂がそれから成仏せずに不浄霊としてその地にとどまっています。殺した相手を強く呪っていて、その子孫や犯人の生まれ替わりまで執拗に執着しています。何としても犯人の家の血を絶やしたくて、来世に生まれ替わった犯人に生き地獄を味合わせて不幸にしようとしているのです。その生き地獄を味合わされている方から相談を受けて、過去世の因縁因果によって、この土地に引き込まれていることを確認しました。

 

家に縛られているケースでは、古い家で、過去にその家の中でお嫁さんによる姑いびりが原因になっていたこともありました。とても意地の悪い姑が、家に嫁いだ嫁を何十年もいじめ続けてきました。お嫁さんはその意地悪に歯を食いしばって何十年も堪えてきたのです。しかし、何年かして姑が体を壊して要介護状態になると、その立場が逆転しました。姑さんは布団に寝たきりで、食事や排せつもお嫁さんの介護が無ければできません。自分の妻が自分の母親からいじめられても我関せずだった夫は、自分の母親が自分の嫁からいじめられてもやはり我関せずだったのです。

 

姑さんは母屋を離れて離れに隔離されました。お嫁さんは自分が受けた何十年の恨みつらみを一気にはらし始めたのです。姑さんは歩くことができません。つまり、母屋へ行って誰かに助けを求めることもできなかったのです。姑さんの暮らす離れは、隔離された拷問部屋になりました。姑さんは死ぬまでその部屋でさまざまな折檻を受けて亡くなりました。この部屋から一歩も出ることなく亡くなった姑さんの恨みは相当強いものです。また、お嫁さんが何十年間堪えてきた無念の思いも、重い念となってこの家に充満しています。そこに引っ越してきた方が、二人の霊的な波長と離れていれば、それでも何ら影響はありません。しかし、二人の波長と同調した場合、人生を大きくゆがめられることは想像に難くありません。そしてこの家のお嫁さんや姑さんと同じように、逃げることもできずにこの家に縛られた方がいたのです。

 

同じ過去の因縁因果によるものでも、良い意味で土地に縛られることもあります。たまたま旅先で訪れた土地が非常に心地よくて何度も訪れています。そのうちにどうしてもこの土地で暮らしたいと思い、仕事を代えてわざわざ転居してきた方がいました。なぜ、そこまでするほど、この土地が好きなのか。何かの因縁因果が働いているように感じて私に相談してきたのです。

 

私が霊視をするとその理由は明確にありました。過去世でこの方はここで暮らしていました。過去世では商人としてこの町で大成功を収めていました。仕事では成功して豪商と言われるようになり、儲かったお金は毎年のように氾濫していた川の治水のために寄付しています。家庭も円満で子供にも恵まれて、夫婦仲は誰もがうらやむように良好でした。川の治水ではお金を出しただけでなく、自分も人足として、作業を手伝うこともありました。そんな時は妻が必ずお弁当を持たせました。あるとき午前中の作業を終えて、妻と二人で川の岸辺に腰かけてお弁当を食べていました。その様子を冷やかした忍足頭が川の岸辺に植えられた桜の木に、この夫婦の名前を刻みました。

 

私からこの話を聞いて、この方は住まいの近くを流れる川岸へ出かけて桜の木を一本ずつチェックしました。そして、今の自分と彼女の名前が刻まれた桜の木を見つけました。過去世で自分の人生に影響を与えている人は、今世に生まれ変わっても人生に影響を与える関係になります。たとえば前世で親子だった人たちが今世では兄弟になったり、前世で親友だった人たちが今世で恋人になることもあります。過去世で仲の良い夫婦だったこの方たちは、今世でも恋人として出会い、やがては夫婦になっていくのでしょう。その思い出の土地ですから、理屈抜きに心地良さや良いご縁を感じて、引き寄せられていたのです。