出張鑑定で皆さんとお会いした時に、霊の問題はもちろんですが、自分の生き方や将来の方向性について尋ねられることがよくあります。
私はバブル時代を経験しています。私は特にバブルの恩恵に授かったわけではありません。ただ当時、世の中にお金が溢れていた頃の高揚感や世の中全体が浮かれていた空気感はよく覚えています。その頃に時代の寵児と言われたクリエーターは、「こだわりを持って生きることが大切である」とよく話していました。たとえば衣食住について、こだわりを持つこと。仕事についてこだわりを持つこと。自分の生き方についてこだわりを持つこと。それが格好の良い生き方であると力説していたのです。当時、20代だった私はそんな話を聞くたびに、「そんなものなのかなあ」と彼らの話を受け入れていました。そして、自分の周りのあらゆるものにこだわりを持って生きていきました。
「食事はこうである」「住まいはこうである」「仕事に求めるものはこうである」
そんな生活を実践してみて、その生き方が格好良いと感じたことは一度もありません。むしろ自分で自分の生き方を窮屈にしてしまい、面倒に思うことばかりが増えました。そして、私が出した結論は、完全にその真逆なものになりました。
「物事にこだわりを持たずに生きていくこと」「あるがままに自分の人生の流れに逆らわずに生きていくこと」
それがもっとも自分らしく楽な生き方であると気付きました。私が大学を卒業して大きな会社に就職して、自分の持っている特別な感性(=霊能力)を活用して、うまくサラリーマン生活を満喫していました。それを捨てて今の生活を始めた時、果たしてそれで生きていくことができるのかどうか、暮らしが成り立つ自信も裏付けも何もありませんでした。
それでもこの世界に入った一番の理由は、それがその時の自分にとって自然な流れであると感じたからです。特に目標を定めたり、決意を固めたわけではありません。サラリーマンをやりながら皆さんの相談に応じたり、不浄霊が憑いていればそれを祓ったりしているうちに、気が付いたら会社を辞めて本業になっていたのです。
会社を辞めるときに家族や友人は全員が反対しました。スピリチュアルな世界の認識は今よりもはるかに厳しいものでした。不浄霊と言えば、「その幽霊に足はついているのか?」と聞かれるような状況です。私が何か怪しい宗教に洗脳されてしまったのではないかと真剣に心配する人もいました。
ただ、私自身は、人生には流れがあって、私がその流れに乗って生きているなら、きっとこれから先も暮らしていくことはできるはずだと思いました。今まで私が大過なく生きてこれたということは、私の人生の流れは決して悪いものではないはずです。そうであるならその流れに乗っていった先に、大きな苦難や困難が待ち構えていることはないだろうと、漠然と思ったのです。何の根拠もありませんでしたが、こだわりや執着を捨てて、自分の人生のお流れに素直に乗った方が、スムーズに先まで進めるだろうと感じたのです。そしてこの世界に入って30年が経った今、私はちゃんと人並に生活しています。特に裕福ではありませんが、衣食住に困窮することもなく、税金や年金やNHKの受信料もきちんと払って生活できています。
皆さんも時々、自分の人生がこれからどの方向へ流れていくのかを感じてみてください。そしてその流れが見えたら、素直に流れに乗って進んでください。何かの壁にぶつかることはあっても、きっとクリアして遠くまで進んでいくことができるはずです。