先日、出張鑑定でお会いした人から「占い」について質問されました。その方は昔から四柱推命や六星占術、算命学などさまざまな占いを勉強してきました。その結果、これらの占いで出された答えを信じて、大きな問題であればあるほど、占いの結果にしたがって行動してきたのです。そんな生活を何十年も続けてきた方が、今回、私に相談してきたのは、最近、占いの結果が現実とかみ合わなくなってきたからだといいます。その方からすれば、ずっと自分の人生を的確に言い当ててきた占いが、最近はどうして当たらなくなってしまったのか、何かが変化したのか、或いは元々、占いとはそれほど当てにできないものなのか、私の考えを教えて欲しいと言うのです。
私は占いについて、根拠がはっきりしているものであれば、信用してよいと思います。長い間、人々に信じられてきたということは、それなりに未来を言い当ててきたからです。毎回毎回、ピンの外れた答えを出していたら、とっくに淘汰されています。ただ、占いの結果を自分の人生にそのまま当てはめるのは危険です。
どのような占いであっても的中率が100%というものはありません。仮に的中率が80%であったとしても、20%は答えを外しているのです。つまり、どれだけ精度の高い占いであってもそれが自分に当てはまるのかどうかは別問題だということです。私が行っている霊視鑑定は、相談者自身を観て、その人に起こることを感じ取ります。占いはもっと多くの人々に対して、統計的に50%以上の確率で「そうだ」と言えるものであれば、そのように言い切っています。ですからその占いがしっかりとした根拠に基づくものであったとしても、毎回確実に何割かの方は外しているのです。そういった精度であることを踏まえた上で、迷ったときに参考にするのは良いでしょう。ただ、それを人生の方向性を決める際の指針にしては判断を誤ります。
それではどうして今まで的確に当たっていたものが、最近は当たらなくなってしまったのでしょうか。それは占いの何かが変化したのではなく、その人自身の人生の流れが変わってきたからです。人はその人自身の人生の流れも、その人自身の考え方も必ず変化します。皆さんが10年前の自分を振り返った時、今の自分とはずいぶんと違うと多くの方はそう考えるでしょう。
心変わりをした恋人に、「自分の気持ちは何も変わっていないのに、あなたは変わってしまった」と不満を述べる人がいます。”諸行無常”という言葉があります。それはこの世界にあるすべてのものは、その姿も本質も、常に移ろい変化していて、不変であるものはないと言っているのです。恋人同士であれば、お互いの気持ちは常に変化しますから、今までよりももっと強く結びついていくかもしれません。逆に離れていく可能性もあります。ただ、同じ状態が何十年も維持されていくことはないのです。
その人にとって占いが的確に当たっていた時、その人の人生の流れがその占いとピッタリ合っていたのでしょう。しかし、人生の流れは変化しますから、当たらなくなる時期が訪れることもまた、当然の結果なのです。占いとはそもそもそういうものであることを理解した上で、迷ったときにその時の判断材料として活用していけばよいのです。