先日、久しぶりに連絡をいただいた相談者の方は、私に遠隔除霊と電話鑑定を依頼してきました。電話鑑定の内容はお仕事のことと、ご家族のことで、何度も回答していますので、変化がないかどうかの確認でした。電話鑑定が終わった後、続けて遠隔除霊に入りましたが、その方は開口一番、「すみません。また、変なものを連れてきてしまったようです」と私に話しました。不浄霊の憑依を受けたときに、”連れてきた”という言い方をする人がいますが、私の感覚でも「入られた」ではなく「連れてきた」と感じることもあります。
たとえば喫茶店やオフィスで打ち合わせをしている時に、何か視線を感じて、その方向へ視線を伸ばすと、道路を渡った向かい側のビルの窓からこちらを睨んでいる人と目が合ってしまうことがあります。目が合った人は、一瞬、ニヤリと笑ったり、無表情でただこちらを見つめていることもありますが、だいたいは次の瞬間、足を動かさずに、身体だけが滑るように私の目の前にググッと近づいてきます。足を動かさずに立ったままの姿勢で目の前に迫って来る人は、もちろん生きている人間ではありません。成仏することができずに現世にとどまったままの不浄霊です。私は目の前に現れた不浄霊に対して、マントラを唱えて祓うこともできますが、多くの場合、気付かぬふりをして知らん顔をしています。私に攻撃を仕掛けてこなければ、不気味なだけで実害はありません。また、喫茶店の中や人通りのある町中では声を出して、マントラを唱えて除霊をするわけにもいきません。そんなことをすれば、確実に周囲の人からは白い目で見られますし、もし、警察に通報でもせれれば、それは厄介なことになるからです。
そして私が知らん顔をしていると、多くの場合、不浄霊は私に付きまとってきます。攻撃を仕掛けることなく私に付きまとう不浄霊は、救いを求めていることが多くあります。あの世へ上がりたくても、上がることができずに苦しんでいる不浄霊もいます。あの世へ上がれない理由は自分自身にあるのですが、それを忘れて誰かに助けてほしくて近寄ってくるのです。不浄霊は私にその力があることはちゃんと分かった上で、寄ってきています。
このような状況になると、おかしなことがしばしば起こります。レストランでも喫茶店でも居酒屋でも、私がお店へ入るとおしぼりやグラスが一つ多く置かれるのです。店員は霊的な間口が広いわけではありませんから、不浄霊の姿が見えているわけではありません。それなのに人の五感は理屈抜きに不浄霊の存在を感じ取っているのです。ときには私が一人で入ったお店で
「お連れ様は?」
と具体的に尋ねられたこともあります。
こんなとき、憑依ではなく、”連れてきた”と感じるのです。憑依されたときとは違った感覚があるのです。