先日、出張鑑定でうかがった家ではアメリカンショートヘアの雄猫を飼っていました。飼い主によると、この猫は人間の言葉がよく分かるそうです。飼い主はフリーのグラフィックデザイナーで自宅で仕事をしていました。仕事部屋に猫が入り込むと仕事に集中できないため、仕事が終わるまで部屋から出ていくように言うと、この猫はその言葉にしたがってすぐに出ていくそうです。「7時になったら餌をあげるから、それまでこの部屋へ来ないでね」と話すと、本当に7時を過ぎたころに、部屋に現れるそうです。そんなことが何度もあったため、私がうかがうとすぐに私に尋ねてきました。
「この猫って霊感がありますか?」
私は自信をもって答えました。
「あります」と。
この猫はいわゆる”尾曲がり猫”です。それは”カギ尻尾”と言われるように尻尾の形が鍵の形をしているのです。他にも尻尾が丸まっている猫も”尾曲がり猫”に入ります。尾曲がり猫は、曲がった尻尾に幸運を引っかけて運んでくると言われています。私は若いころに仕事でロシアに2年ほど住んでいたことがあります。そのときの友人宅の猫も”尾曲がり猫”で、この友人はそのことをたいそう自慢していました。尾曲がり猫が幸運を運んでくるという話は、ヨーロッパではしばしば耳にしました。私はアメリカンショートヘアの飼い主に、そんな話もしながら、「この猫はあなたを守っていますから、かわいがってください」と伝えました。それは飼い主と猫の関係が近くなり、仲良くなればなるほど、猫が飼い主を守る力は強くなるからです。
飼い主は私の言葉を聞いて興味のあることを言いいました。
「この猫は、私や家族が熱を出したり、具合が悪くなると、夜寝るときに必ず足元にやってきて、じっと朝まで寄り添うように体をくっつけてくる」というのです。この猫の寝場所は特に決まっているわけではありません。ですからそのときの気分次第で家の中のあちこちで普段は寝ています。それが家族の誰かが具合が悪くなると、それを察知したようにこのような行動を取るのです。
以前、人間の死を予知するアメリカの不思議な猫の記事を読んだことがあります。高齢者や認知症患者のいる施設で飼われていたその猫は、普段は施設のあちこちを歩き回っていますが、入居者に死期が迫ってくるとそれを感じて、死の数時間前からその入居者から離れなくなるのです。
猫を飼ったことがある人なら、ある日、飼っている猫が誰もいない空中の一点をじっと見つめている様子を見たことがあると思います。そこに何かがいるかどうかは、その状況を確認しなければわかりません。ただ、霊感の強い猫は、何もいない空中を睨んで、鳴き続けたり、猫パンチを繰り出したり、爪でひっかくような不思議なアクションをとることがあります。そこまで明確な反応が伴う場合は、そこには人間の目には見えない何かがいると考えられるのです。(2)へ続く。