先日、雑誌の記事の中に”元号は言霊”と書かれたものがあり、思わず納得してしまいました。今は、一人の天皇が一つの元号を名乗っています。しかし、昔は一人の天皇が元号をいくつか名乗ることもあったようです。それは天災が続いたとか、社会不安が広がったときに人心を一新するために元号を変えていたのです。世の中のムードを変えるために改元するという発想は、まさに言霊の効用を考えたものであります。
私に「子供の名前を付けて欲しい」という方が時々います。親からすれば、縁起の良い名前、良い人生を生きていけるようにと願いを込めています。そのとき私は、名前の響きを感じとって、最も良い韻を持つ言葉を選びます。つまり、よく言う”字画”はまったく考慮していません。名前の音が良いものを選んでいます。
言霊と言われるように、もし言葉に力があるなら、人生の中で自分に向けられる最も多くの言霊は”自分の名前”になります。だから名前の音を重視します。同じ考え方からすると、元号は日本の人なら何度も口にするものです。人生の中で元号を口にする回数は誰でも相当の数に上ります。その言葉が良い音を持つものなのか否かは、その人々や国全体の未来を大きく左右していきます。元号についての政府の発表の中に「良い響きのするものを選んだ」という見解はありません。ただ、元号が替わることで世の中のムードは確実に変化していくと思います。明治から大正、昭和、平成と元号が替わりました。それぞれの時代はその時代特有の雰囲気を持っていたように思います。ですからこれから始まる”令和”は、昭和や平成とは異なる新たなムードになっていくと思います。
それでは”令和”という元号が言霊としてどうなのか。私は実に良い韻を持った言葉だと感じています。これまでの元号にはない新鮮な印象を持ちました。令和の意味や由来についてはさまざまな意見があるようです。ただ、純粋に言葉の響きを見た時に、良い意味でこれからリフレッシュできる爽やかな感じを持ちました。重たいコートを脱いで、沈滞ムードを打ち破っていくような、良いエネルギーを感じました。きっと韻を重視したわけではないと思いますが、結果的には良い元号を選んだと思います。この言葉の響きのように、たくさんの皆さんに笑顔が広がる明るい時代になることを願っています。