”意識は結果を左右する”これは仕事でも勉強でも恋愛でも、私たちが行うすべての行動に言えることです。同じ時間と労力をかけて行動するなら、結果は良いに越したことはありません。
私は若いときに予備校の講師をしていました。高校生にもなると生意気な口をきく生徒も時々出てきます。あるとき授業中にふんぞり返って座っていた生徒に注意をしたところ、「先生は俺たちの月謝で食ってるんだから、客を大事にしろ」と言われたことがあります。私はその生徒に「月謝を出してるのは、君じゃなくて君の親だろ。親御さんは君の成績が上がるように高い月謝を払っている。だから我々は少しでも成績が上がるように、それぞれの単元のポイントを説明している。それを学習する上で、勉強に取り組む姿勢はとても重要なんだ。ふんぞり返って話を聞いていて、それで授業が頭に入るのか?」確かそんな話をしたように記憶しています。
一方でお母さんと二人で生活している生徒がいました。この生徒の家は貧しくて、お母さんはパートを2つ掛け持ちして働いていました。この生徒は極端な理系で特に英語が苦手でした。ただ、国立大学を目指していたため英語の試験は必須です。普段、わがままを言わないこの生徒は、母親に1度だけわがままを言いました。
「お母さん、英語が全然、分からない。このままでは英語で受験を失敗するのは見えている。英語の授業だけでも予備校で教わりたい。予備校へ通うのは無理かな」
お母さんはこの言葉を聞いて、二つ返事でOKを出しました。
「お金はお母さんが働いて何とかするからあなたは勉強に集中してね」
お母さんはこの生徒が予備校の英語単科コースに通うために、さらにパートを1つ増やしました。
ふんぞり返っていた生徒は、授業もよくサボり、座る席もいつjも教室の一番後ろでした。理系頭脳のこの生徒は、いつも教室の一番前の席に座って、私の言葉を一言も聞き漏らすまいと目を輝かせて授業に臨みました。そして、授業が終わってからも、私を追いかけて質問に来ました。
彼らにはやがて嫌でも審判の下る日がやってきます。そしてその結果は大きく別れました。ふんぞり返ってた生徒は、私立大学を10校以上受験してすべて不合格でした。理系頭脳の生徒は、難関国立大学の理学部に見事に合格しました。同じ人間が、同じ頭脳を持つ生徒に教えても、それを受ける側の姿勢によって結果は大きく異なるのです。これは勉強に限ったことではありません。スポーツでも仕事でも恋愛でも、自分がどのような意識を持って取り組むのかによって結果は大きく異なります。皆さんもなかなか結果が出ないとき、それを周囲の人間や環境のせいにする前に、自分の意識に焦点を当ててみてはいかがでしょうか。自分を見つめ直すことで絡まっていた糸が、簡単にほどけることもあるのです。