誰かの未来を観ようとしたり、その人の本音を感じるときに、自分の中にその人に対する感情が入り込んでいれば、それによってゆがめられた過去や未来を観ることになります。人間は誰でも感情があります。人間が本質的に持っている感情を抑えることは容易なことではありません。相手のことが好きになっても嫌いになっても、感情が入り込んでしまえば、正確に相手を感じ取ることは出来ません。

 

私も以前は霊視するときに、感情を抑えるためにさまざまな作業をしました。よく言われるのは呼吸法です。普段の倍以上の時間をかけて、ゆっくりと息を吸ってゆっくりと吐く。その際には目を閉じて、自分の内面の世界を深く掘り下げて見つめていく。そうすることによって集中力を高めていきます。

 

また、自分の外から入る情報は一つ一つ消去していく。まずは町の喧騒の音に集中して、その音を消していく。車や電車の音が聞こえるなら、その音に集中して、それを排除する。風の音が聞こえるならその音に集中した後、その音を消去する。虫や動物の鳴き声が聞こえるなら、その音に集中してから、それを消去する。ここまでくれば、波立っていた感情の波はかなり落ち着いてきます。そして霊視をする対象者の霊的な波長がどこにあるのか、静かに探ってそこに同調していく。昔は霊視をするときには、このような手順を踏んで相手の方を観ていました。今は数多くこの作業を繰り返したことで、特に意識しなくても自然とこの作業を自分の中で行う癖がついています。

 

これは自分の心の中から感情を排除して、虚心坦懐に相手の方を見つめるために必要な作業でした。感情を抑え込んでから、相手の方と同調すれば、そこで感じた世界は、その方の目線で見ている世界になります。したがって過去であれ、未来であれ、その方の過去や未来と直結することになります。

 

霊的な間口が広がることで人の本音を感じ取ったり、これから起こる幸せや災いを感じ取ることはできます。ただし、それをゆがめてしまう自分自身の欲望や願望、そして感情の影響を排除することにも留意しなければならないのです。