最近、霊的な間口が広がってきたという方から相談を受けました。間口が広くなってきた見返りとして、霊障を受けることが多くなり、私からそのたびに除霊を含めて不浄霊に対抗する施術を受けている方です。霊的な間口は霊体験をすることによって徐々に広がっていきます。不浄霊の影響を受けることも、除霊を受けることもどちらも広い意味での霊体験になります。したがって霊の憑依や除霊を繰り返すことで霊的な間口はどんどん広くなるのです。ただ、間口が広くなることで、辛い霊障を受けることにもなりますが、メリットもあります。それは未来を感じ取れたり、人の本音がわかるようになることです。
その方も、最近は友人や仕事の関係者など、自分周囲にいる人が何を考えているのか、手に取るようにわかるようになったと言います。ただ、今自分が感じたことが本当に正しいのかどうかは、時間が経過した後でなければ分かりません。そこで未来を正確に感じ取るためのポイントを私に尋ねてきたのです。
私はまず相手を見たり、未来を感じ取るときに”虚心坦懐”相手を向き合うことが大切だと答えました。虚心坦懐とは、心に何のわだかまりもなく素直な気持ちで物事に臨むことです。言葉にすればまさにこれだけのことですが、やってみるとこれは本当に難しいことです。すべての人は生まれながらに欲を持っています。キリストやブッダのような聖人でない限り、人は解脱などできるものではありません。その人間が本質的に持っている一番弱い部分を制御できないと、そこで感じた認識は狂ってしまうのです。別の言い方をすると、正確な霊視を阻害する一番の要因は”欲”になります。欲が入りこめば、自分の欲というフィルターを通した世界しか見えてこないのです。それは客観的な世界とは異なります。
よく霊能者は「自分のことは意外と分からないものだ」といいます。これは確かにその通りです。私も他人の未来は感じ取れても自分のことはよく見えません。少しでも感じ取れたなら回避できる簡単な失敗をすることがしばしばあります。それは私の中にまだ、さまざまな欲が残されているからでしょう。
同じように家族や親しい友人のことも正確には見えにくいものです。自分の親しい人であればあるほど、幸せになってほしいという願望がおのずと入り込みます。その思いが入った瞬間に精度は少しずれてしまいます。これは相手に好意を持っているだけでなく、嫌悪感を抱いていても同じです。どれだけ間口が広くなっても、自分の感情に好きや嫌いが刻まれている限りは、感情によってゆがんだ世界しか見ることはできないのです。
ですから同じ相手でも、今まで手に取るように見えていた未来が、だんだん見えにくくなることがあります。それは自分の気持ちの中にその人に対する感情が芽生えてきたからです。(2)へ続く。