私はよく、”コミュニケーションは文字や言葉ではなく、気持ちでするもの”と話しています。人間は自分の思いを相手に対して発信しています。それと同時に思いを受信するアンテナも持っています。ですから言葉や文字でどれだけ本心を偽っても、その思い(=本心)は相手へ伝わります。たとえば狭い部屋で嫌いな相手と作業しているとき、何も言葉を交わさなくても気持ちは苛立つものです。逆に好きな人と、狭い部屋で作業をしている時、一言も喋らなくても何か嬉しくなります。これはまさに、気持ちが相手へ伝わっていることで起こります。

 

先日、出張鑑定で神戸まで出かけた帰り、京都駅から乗ってきた若い女性が、私の隣の席でずっと声を殺して泣いていました。指定席でしたので私は名古屋まではその女性を見ないようにして隣の席に座っていました。ただ、豊橋を過ぎたころにはこの女性の悲しさがひしひしと伝わってきて、もう隣に座り続けることができませんでした。この女性はお父さんを亡くされて、お葬式を終えて東京へ戻る途中でした。小さいころからお父さん子で、たくさんかわいがってもらい、お父さんが大好きでした。子供の頃はいつもお父さんの膝の中に座っていました。隣の席に座っていると、この女性が子供のころに海や山へ連れて行ってもらった思い出や成人式の後で家族で食事会へ出かけたこと。ハワイへ行った家族旅行や就職祝いにお父さんに買ってもらったアクセサリーなど、今この女性の頭の中にある景色が、悲しみとともにとてもリアルに浮かんできました。そしてお葬式でお坊さんが唱えているお経が聞こえて、祭壇に置かれたお父さんの遺影まで目に浮かびました。

 

こういったことはしばしば起こります。今回のように深い悲しみが伝わってきてで隣の席に座っていられなかったこともあれば、強い怒りや妬み、嫉妬心に巻かれて気持ちが悪くなって電車を降りたこともあります。ここでも隣の人や目の前の人と私の波長がどこまで近いかによって、見え方や感じ方は異なります。今回、隣に座った女性とは、かなり波長が近かったように思いました。

 

こういったことがあるとしばらくは警戒して指定席には座らなくなります。座席が決められているとたまたま波長の近い人と隣り合った時に、その人の心の中にあるものの影響を受けることになるからです。霊的なものの悪影響を受けたり、霊に憑依されることもありますが、人の思いもとても重たいのです。特にネガティブな思いは、悪い意味でとても強い力があります。誰もがいつも前向きで、感謝の思いにあふれて、幸せに暮らしていられればよいのですが、他人の成功や幸せを素直に喜べない人の方が、実際には多くいます。そういった人たちは、自分自身の中にある妬みや嫉妬や対抗心、そして怒りや憎しみの感情が、自分の未来を悪くしている元凶であることに気づいていません。あなたの未来を作り出しているのは、他でもないあなた自身なのです。

 

今まで何度もお伝えしてきたように、良い未来を求めるなら、良い行動を取らなければなりません。良い行動を取るためには良い思考を持つことが必要です。良い思考を持つためには良い意識を持たなければなりません。そして良い意識を持つためには良い認識を持つことが必要です。このサイクルの中に”ネガティブな思い”は必要ないものなのです。みなさんも時々、自分の思いに必要のないものが紛れ込んでいないかチェックしてみてください。もし入り込んでいれば、それを直ちに祓い除けてください。そしてあなたの思いは周囲の人に伝わっていることも自覚してください。