それからお婆ちゃんの状態は一進一退を繰り返しました。もう、明日にでも外を歩けるかと思うくらいに膝を上げて力強く歩いていたのに、翌日、お婆ちゃんの家を訪れると、歩行器を押してヨタヨタと玄関まで迎えにきます。お婆ちゃんによると私が帰って1時間か2時間すると、また足は重くなり関節は曲がらなくなります。私が家にいる間だけ、足は命を吹き返したように動き出すのです。これは私が意図的にお婆ちゃんへパワーを送っていることで、私がいる間はお婆ちゃんの心身は覚醒するからです。さらには根本的には私とお婆ちゃんの霊的な間口の大きさの違いにより、間口の大きな私から間口の小さなお婆ちゃんへ一種の”パワー循環”が起きているからです。
お婆ちゃんからは、「本当は先生にはいつも家にいてもらいたいけど、それは出来ないから、先生の身代わりの人形や先生が唱えるマントラを録音したテープが欲しい」と言われています。ただ、残念ながらそれでは役に立ちません。お婆ちゃんの足が覚醒するのは、私がそこにいることで起きていることだからです。
あるとき、お婆ちゃんから「先生に、来ていただくととても楽になるのに、先生の診療には、なぜ保険がきかないのか」と言われたことがあります。私はそれに「霊視や霊的な施術は、非科学的なものだからです」と答えました。たとえば病院へ行って薬を処方されます。薬局でもらった薬には、科学的なデータの裏付けがあります。何パーセントの人に有効で、何パーセントの人にどの程度の副作用が出るのかという科学的なデータです。それがあるから薬は認可されます。”科学的である”ということは、万人に共通するものでなかればいけないのです。引力は地球上のすべての生物や物に作用しています。遠心力も同じです。
霊の世界は万人に共通する世界ではありません。私と霊的な波長の近い方にとって私は役に立つことができます。しかし、波長が離れている方にとっては、どれだけ頑張ってもお役に立つことは出来ないのです。人に恐怖を感じさせたり、最悪な霊障を与える不浄霊も、霊的な間口の狭い人であれば、何ら悪影響を受けるものではないのです。このように誰かには有効で誰かにはまったく無効であるという世界は、科学的な世界とは言えません。だから霊の世界は、広く世の中で認知されることはないのです。科学的でない世界は、多くの人に受け入れられるものではないのです。
ただ、現実に、お婆ちゃんのように、この非科学的な世界が有効に作用する人もいます。いつか霊の世界のメカニズムを科学的に立証することができて、霊的な施術が保険対象になれば、それによって救われる人もいるはずです。私はそんなことを時々考えながら、この世界をいつも探求しています。ただ、この奥深い世界を見極めるには、まだまだ何十回も生まれ代わらなければ、解明することは出来ないのでしょう。先の長い道のりですが、これからも追及していこうと思っています。