私は今、マンションに住んでいます。最上階の角部屋で幅の広いベランダが部屋を囲うようにコの字型についています。このベランダがとても気に入ってこの部屋を選んだのですが、実際にベランダにテーブルや椅子を出したり、くつろぐことはありません。以前から何となく感じていたのですが、私は高いところが苦手なのです。エレベーターを降りて自分の部屋へ向かう廊下でも、できるだけ廊下の内側を歩いています。自分ではずっとそんな認識はありませんでしたが、最近、何度か高所に立って、怖いと感じたことが続き今ではそう認識しています。

 

私が高いところに恐怖心を抱く理由もわかっています。それは私の過去世で、山の尾根のような切り立った崖から転落していく様子が何度も頭に浮かんできたからです。崖から足が離れて体が空中に飛び出して、しばらく宙を舞ったあとに地面がどんどん近づいてきます。そのときの恐怖心に身がすくんだことが何度もあるのです。

 

恐怖症と言われるものは数多くあります。ネットで恐怖症を検索してみると百を軽く超える数の恐怖症が列記してあります。高所恐怖症は有名ですが、暗所恐怖症、血液恐怖症、黒色恐怖症、群衆恐怖症、幸福恐怖症、対人恐怖症、男性(女性)恐怖症、閉所恐怖症、夢恐怖症といったものまであります。潔癖症も別の言い方をすれば不潔恐怖症になります。私の知り合いでボールペンや鉛筆を向けられるとひどく怖がる人がいました。その人は先端恐怖症だと言っていました。恐怖症はひどくなると吐き気やめまいをもよおすこともあり、パニック発作が起きることもあります。

 

恐怖症の原因については恐怖体験やトラウマによることが多いとされていますが、私の認識は違います。私は過去世での体験が無意識のうちにその人の心に刻み込まれたものだと思っています。特に死に際して経験した恐怖体験は、さまざまな形で今世に反映されてきます。私の事例以外にも、前世でトンネル工事で生き埋めになって”穴恐怖症”や”生き埋め恐怖症”になった人や海で溺れて亡くなった人が”海洋恐怖症”になったこともあります。私の知り合いの先端恐怖症の方は、過去世で戦によって亡くなっています。そのとき飛んできた矢が顔に刺さって亡くなりました。矢が刺さる状況は一瞬の出来事ですが、本人の記憶の中では顔に向かって飛んできた矢が少しづつ近づいてくる様子がスローモーションを見るようにはっきりと記憶されていたのです。

 

逆に言えば、自分自身が理屈抜きで苦手にしているものを特定できれば、前世で自分がどんな死に方をしたのかを知るヒントになるのです。