誰もが健康で幸せな人生を歩みたいと思います。そういった人生を望みながら、現時点でそうなっていない場合、良い未来へ向けて変えていかなければならないものがあります。昨日までと同じ考え方や行動を続けていくなら、その結果、訪れる未来も昨日までと同じものになります。今までとは違った未来を望むのであれば、今までとは違う、思考や行動を取らなければなりません。その際にポイントになるのが”意識”です。意識は思考を作り出し、思考は行動を作り出し、行動が未来を作り出していきます。つまり、良い意識を持てば、良い未来が訪れることになります。このことを多くの人が頭では理解しています。ただし、意識は認識によって作り出されますので、今厳しい人生に直面している人が、”人生は辛い”という認識を持つ中で、意識を良くすることはなかなかできません。

 

それでは現状認識が変わらない中で良い意識を持つためにはどのようにしたらよいでしょうか。先日、出張鑑定でお会いした方が、面白い話をしていました。その方は結婚していますが、ご夫婦ともに動物が好きで、家で猫を飼っています。あるとき家から100キロ以上離れた観光地に夫婦で遊びに出かけました。そこで名所旧跡を観光している時に、一匹の野良猫に目が留まりました。その猫はひどく痩せていて後ろ足をケガしているようで、足を引きずりながら歩いていました。野良猫は人間が近づけば警戒して逃げるものですが、その猫はご夫婦が近づいてもまったく逃げるそぶりを見せず、逆に身体を摺り寄せてきました。ご夫婦はこの猫がお腹を空かせていると思い、お土産に買った魚をバッグから出して、この猫に与えました。猫はまるで「ありがとう」とでも言うように、ニャーニャーと鳴いたあとで、魚を貪り食いました。それを見届けたご夫婦は、帰りの電車の時刻も迫っていたので、「バイバイ」と言いながら手を振ってその場を離れていきました。するとガツガツと魚を食べていた猫が、食事を中断してこのご夫婦めがけて足を引きずりながら走り寄ってきたのです。ご夫婦は愛おしくて仕方がなくなり、食べかけの魚を取りに行き、手に取ってこの猫に与えたのです。

 

この状況に心が動かされたご夫婦はこの猫を家へ連れて行って飼うことに決めました。ご主人がこの場にとどまってこの猫と一緒に過ごし、奥さんはタクシーを呼んで、ペットショップへ向かい、猫を入れるキャリーバッグを購入して戻りました。そして、キャリーバッグを地面に置いて猫を入れようとすると、この猫はご夫婦の気持ちを察したように、自ら歩いてキャリーバッグの中に入ったのでした。ご夫婦と一緒に猫も電車に乗って帰宅しました。そして翌日、予防接種と足の治療のために猫を連れて動物病院へ行きました。それから足の治療をしましたが、残念ながら足のケガは完治せず、今でも歩くときに後ろ足を引きずっています。ただ、毎日、きちんと餌を与えてもらい、ガリガリだった体は少しふっくらとしてきました。そしてご夫婦の家で先に飼われていた猫とも今は打ち解けて仲良く過ごしています。

 

猫はいつもマイペースで餌をもらえる人なら誰にでもすり寄って媚びるようなところがあります。ところがこの猫はご夫婦の友人が餌を与えても決して食べようとせず、このご夫婦だけになついています。実はこのご夫婦には、以前飼っていて亡くなった猫がいました。毛並みはまったく異なりますが、しぐさはよく似ていて、その猫の生まれ変わりではないかと考えています。

 

前世や来世を考えた時に、人間はほとんどのケースで人間に生まれ変わります。そうであるなら猫が生まれ変わったらほとんどのケースで猫に生まれ変わるはずです。そうなると前世でこのご夫婦にかわいがられた猫が生まれかわってこのご夫婦と出会ったとしても何ら不思議なことではないのです。(2)へつづく。