心霊スポットを調べていると、よく”廃ホテル”というものが出てきます。確かに廃業して朽ちかけた建物は見ているだけでも気味が悪くなります。ただ、本来はホテルという場所自体が霊的に言うと危険であることはしばしばあります。ホテルにはさまざまな人たちがさまざまな思いを残しながら宿泊します。家族連れ来て、楽しい思い出を残して帰宅する方もいますが、中には勝負をかけた仕事の契約が取れずにやり切れない思いを残して家路に着く人もいるでしょう。また、彼との素敵な思い出を作りに来たホテルが悲しい別れの場所になってしまった方もいます。考えてみれば、ホテルの客室内には、自分の知らない誰かが眠ったベッドがあり、誰かが汗を流したシャワーがあります。その知らない誰かの思いに包まれて、客室で一晩眠ることになるのです。
死霊が関わってくることもあります。人は死んだ後、魂は現世にとどまり、生まれた場所から死んだ場所までをたどりながら自分の人生を総括します。ホテルの立地自体が霊的に悪い場所であればもちろん、そうでなくても思い出の残っているホテルに魂が留まり、なかなかあの世へ上がることができずにホテルの中をいつまでもさまよい続けていることもあります。
私は昨日、都内のホテルの客室で出張鑑定を行いました。地方から出てきた相談者の女性は、宿泊するホテルの客室でお話をしたいと申し込まれました。ただ、ホテルのロビーを入った時には感じなかったのですが、エレベーターで客室のあるフロアーに降りたとたん、急に嫌な気持ちになりました。廊下を歩いている段階で冷や汗が出てきましたし、客室に入った時には悪臭で息ができないくらいでした。
その女性も霊的な間口は広い方ですので、この悪臭には気が付いていたようです。私が嫌な顔をしていると
「やっぱり、この部屋、変な臭いがしますよね」
そういって私の顔色をうかがいました。
また、この女性によると、「部屋に入った時に灰皿の上で確かにお線香が焚かれていたような気がした」とも話しています。しかし、汗を流しにシャワーを浴びた後、室内に戻るとお線香のあとは跡形もなく消えていたそうです。決して自分の勘違いではないと思うと言っていました。私はこの女性に「フロントへ連絡して、すぐに部屋を変えてもらった方が良いです。それもこのフロアーはやめて他の階にしてもらってください」と伝えました。
霊的な間口の広い方がこのような部屋に宿泊すれば、ひどい霊障を受けることは目に見えています。おそらく金縛り程度では済まなかったはずです。フロントでは特に嫌な対応もせずに、このフロアーとは離れた部屋を用意してくれました。その部屋は幸い、特に霊的なものの影響は感じませんでした。この部屋は、ここまで強く影響が出ていますので、誰か客室内で無念の死を遂げたのではないかと感じました。そして死んだ後もご遺体はすぐに発見されず、しばらく放置されていたような映像が頭をよぎりました。