今、苦しい状況でも時間をかけることによってその状況が変わることがあります。何かのアクションを起こすことで問題解決はできても、人間関係に溝ができたり、遺恨を残すこともあります。そういった場合、時間の経過に任せて、自分も相手も傷つけずに改善を図ることを勧めることもあります。

 

先日、相談に訪れた女性は、勤め先の会社が経営するお店の店長に抜擢されました。その仕事は彼女がやりたかった仕事です。彼女はお店のスタッフと何度も打ち合わせをしながら、売り上げ向上へ向けたアイデアをいくつも立てて実行していきました。彼女は高いモチベーションで仕事に臨んだ結果、売り上げは向上して彼女からみてスタッフとの関係も良好でした。

 

ところが彼女が店長になってから、半年もたたないうちに、彼女のお店には本社から副店長が派遣されてきました。この副店長は、お店の売り上げに満足していない本社の意向でお店のテコ入れとして派遣されたのです。それからお店の運営は、本社からの指示で店長の彼女よりも副店長の意向が重視されるようになりました。すると今まで自分に付いていたスタッフも副店長に付き従うようになりました。彼女はお店の中で自分の居場所を失い孤立化してしまったのです。

 

彼女は自分の今の状況を私に切々と語りました。そして、このままこの会社に勤めていても苦しいだけだから転職したいと私に言ったのです。

私は転職という選択が彼女にとって良い選択になるのかどうか未来を霊視しました。そして彼女に伝えました。

「今、転職をすることはさらに苦しい状況に自分を追い込みます。あなたは今の会社に残るべきです。あなたの会社の社長は、かなり気まぐれに人を動かします。そして我慢することができません。ですからあなたも半年経たずにこの状況に追い込まれましたが、それは逆に出る可能性もあるのです。今の副店長は社長の評価が高い人物ですが、それが大きく変わって、やっぱりあなたに任せた方がよいと、社長が考え直す時期は必ずきます」

 

彼女は私の話をうなずきながら聞いていました。そして涙を流しながら私に訴えました。

「でも、今は毎日お店に行くのが辛いんです。一日中、忙しく動き回るスタッフの中で、自分だけが店長なのに仕事を与えられずに1日を過ごしています。私は何か悪いことをしたのでしょうか?」

「今、もし、会社を辞めた場合、まず今の会社と同等かそれ以上の条件で転職するまでには、1年近くの時間がかかります。その間、無職でいることの焦りも出てきますから、あなたは今の会社より、悪い雇用条件であっても妥協をしてその会社へ転職することになります。そしてあなたは、転職先の会社へも不満を募らせて、転職後1年から2年の間に再び転職します。そうやって自ら雇用条件を悪くして転職を繰り返すようになります」

彼女は黙って私の話に耳を傾けました。

「今の会社にあなたが再び活躍できる未来がないなら話は別ですが、その未来はしっかりと感じます。それなら今までに実績を作ってきた今の会社で働き続けた方が、あなたにとって良い選択となることは間違いありません」(2)へ続く。