マントラは唱えるときの声(=音)が重要になりますが、その声と呪文だけで不浄霊を祓っているわけではないからです。口を勝手に動かしてマントラを唱えながら、頭の中では曼荼羅を思い描いたり、不浄霊と対峙してやりとりをしています。手で印を結ぶこともあります。除霊をする人や憑依した霊にどんなお経やご真言が有効なのかを常に探り、効果のありそうなものをチョイスして声に出して唱えています。そういったすべての作業を含めて霊を祓います。ですから私が唱えるマントラの声を録音しても、それを流すだけでは霊を祓うことはできません。
今は大手書店へ行けば、さまざまな経本は売られています。ネットで検索しても私たちが除霊で唱える経本を手に入れることもできます。そこに書かれているお経は、私が唱えるお経と一字一句同じものです。本によっては”霊を祓うお経”などと、インパクトの強いタイトルをうたっているものもあります。ただ、今述べたような作業を行わないで下手にお経だけ唱えて見よう見まねで除霊をすることは効果がないだけでなく非常に危ない行為です。
霊が除霊で用いるお経を嫌うことは間違いありません。ただ、もし霊と波長が合ってつながってしまった場合、霊を追い詰めるようなマントラを唱えれば、霊は自分の力を示すために示威行為に出ます。そして自分を防御するすべを知らなければ、その示威行為によって霊障を受けてしまいます。
お経やご真言といったマントラには力があります。それは何千年という年月をかけて人間が見つけてきた叡智が詰まっています。ある言葉を唱えていると体の調子が良くなったとか、問題が解決したとか、そういった効果のある言葉(言霊)をまとめたものがマントラとして今に受け継がれてきたのです。ですからマントラは理屈を考えずに、ただ、無心で唱えれば良い効果が出ます。ですから皆さんはそういったマントラを唱えていかれれば人生の流れは良くなります。
お婆ちゃんの件も同じです。私はマントラを口で唱えながら、全身全霊でお婆ちゃんにパワーを送っています。だからその時間、お婆ちゃんの足は動きます。これは私の人形ではできません。歯車は動き始めるときに最も力を使います。動き出してしまえば、少しの力で歯車は回り続けます。人間の体は癖がつけば、自然にその通りに動きます。私の狙いはそこにあります。私のパワーであってもまずはお婆ちゃんの足が動く状態を作り、それを少しでも長く継続させることで、足が動くことを当たり前にしていきたいのです。残念ながら今のお婆ちゃんの状態はかなり改善されましたが、スムーズに歩けるところまではあと一歩です。
時間があれば私の人形ではなく、私自身がお婆ちゃんの家へ通って、一日も早く良くなっていただきたいと思っています。