病院は、言うまでもなく肉体の不調を治しに行く場所です。ただ、時々「病院へ行ってから具合が悪くなった」という人がいます。人間は肉体が活動をやめて死んだ後、魂は肉体を出てしばらくの間、現世にとどまります。そして生まれた場所から死んだ場所まで何度もたどりながら、自分の人生の総括をします。そして自分にとっての人生とはどのようなものであったのか、自分なりの回答を出し、納得することであの世へ上がることができます。あの世へ上がった後は生きていた時の記憶を消されて来世へ生まれ変わります。ほとんどの人はこの魂の定めにしたがって輪廻転生を繰り返し永遠に生き続けます。”死は終わりではなく始まり”というのは、死が人生の終わりではなく、次の人生へ向かう出発であることを表しています。納得のいく人生を生きてきた人は、早くあの世へ上がり、早く生まれ変わることができます。悔いの多い人生を生きてきた人は、あの世へ上がるのも生まれ変わるのも時間がかかります。

 

死んで現世にとどまっている魂は、自分の人生を総括する旅を続けます。そんな魂がしばしば立ち寄る場所は、自分にとって思い出深い場所、そして自分が死んだ場所や自分のお墓がある場所になります。古戦場や戦災に遭った場所、或いは災害の起きた場所で霊の目撃情報が多いのは、そこが自分の死んだ場所だからです。そういう意味では、多くの人が死を迎える病院は、お寺やお墓よりも霊が集まっている場所になります。

 

私が入院した経験は人生で2度あります。どちらも1週間程度でしたから、肉体はそれほど重篤ではありませんでした。ただし、この2回の入院は私にとっては本当に恐怖とストレスの連続で嫌な思い出として心に残っています。夜中に喉が渇いて飲み物を飲みたくなりました。私は自動販売機のある1階へ行こうとして、エレベーターの1階のボタンを押しました。それなのにエレベーターは階下へ下がらずに、上に上がっていったのです。5階・6階とどんどん上がっていって、7階でエレベーターは停止しました。エレベーターの中に貼られた表示を見ると、7階は「脳神経外科」となっていました。そして恐怖を感じる中でエレベーターの扉が開くと、頭に包帯を巻いた女性が目の前に立って、無表情で私を見ていました。

 

私はエレベーターに入ってきた女性と入れ替わるように、7階の廊下へ逃げました。すると頭に包帯を巻いた男女や車いすを押している女性が何人も廊下をさまよっていました。彼らはすべて生きている人ではなく、この7階で息を引き取った人たちの魂です。まだ、現世への執着が抜けず、死を受け入れないで、死んだ場所をさまよっているのです。私は当時、覚えたばかりのお経やご真言を息を殺して必死で唱えながら、階段で階下へ降りました。

 

霊は私がその存在を感じれる人間であることを分かっています。ですから数多くの力で私を7階まで引き寄せて私に救いを求めてきたのです。入院中はこういった霊との遭遇が毎日ありました。中には戦前の看護婦の制服と思えるロングスカートをはいて赤十字のマークが入った丸いキャップをかぶったナースもいました。

 

先日このブログで健康な状態とは、肉体と精神的な身体と霊的な身体がすべて良い状態の時であると書きました。病院へ行って具合が悪くなるのは、霊的な身体がそこにいる霊に反応したことによって引き起こされます。実際、私に霊の問題で相談される人は、医師や看護師、臨床検査技師など、病院で仕事をされている方が圧倒的に多いのです。(2)へ続く。