今回、私に相談した方のように、すぐに感情的になり、怒りを抑えられなくなる方はしばしばいます。いつも同じ失敗を繰り返しているようでも、螺旋階段のように少しずつでも解決へ向けて上がっていくためにはどのようにしたらよいのでしょうか。

 

感情的になって制御不能になる方は、制御不能にならない状態を維持することをまずは目指してください。たとえば「仕事で疲れている」とか、「今日は嫌なことがあってイライラしている」といった状態。このような状態は感情が爆発しやすい危険な状態です。ただ、この時点では感情はまだ爆発していませんから、今の自分の状態は”切れやすい状態である”と自分で認識できるはずです。このような状態のときには、人との接触をできる限り控えるとか、面倒な話題は取り上げないようにして、キレることがないように注意するべきです。たとえば配偶者と意見がぶつかりそうな話題は、何も自分がイライラしている時に取り上げる必要はありません。今、決めなくてよい問題であれば、解決を先送りして自分の精神が安定している時に話し合えばよいのです。自分が”感情的になる”という自覚を持つことによって、実際に”キレる”というリスクは軽減することができるのです。

 

それでは感情が爆発してしまったときにはどうすればよいのか。まずは一呼吸置くことが必要です。”人間の怒りのピークは6秒間”というデータがあります。であるならこの6秒間を上手くやり過ごせば、爆発するにしてもその激しさは軽減できます。もし、感情的に切れて大声を張り上げたとします。そこでそのままその場所にとどまって相手と対峙すれば、怒りの炎はさらに燃え上がり攻撃的になっていきます。そこで6秒間、黙って深呼吸をする。或いは一旦その部屋を出て別の部屋にこもる。キレた相手が目の前から消えてくれれば、激しい怒りは一旦収まるはずです。そして別室や別の場所で一人で考える時間を持つことで、怒りの理由をもう少し冷静に見られるようになります。もし、相手の言動や考えに大きな誤りやルール違反があるなら、感情的にならずにそのことを指摘して改善を求めればよいのです。そういった意味でその場を一旦離れるとか、一呼吸置くことは有効なのです。

 

さらにしばらくたってから再び怒りがメラメラと燃え上がることもあります。昨日、喧嘩をしたことを翌日に思い出して、また腹を立てるようなケースです。そんな時には怒りをため込まずに吐き出した方が良いです。たとえば車に乗って高速道路を走りながら車内で思いっきり大声を張り上げたって良いのです。車の車中でなくても自分の声が周囲に届かない場所であれば、キレた相手の悪口を大声で口に出して叫んでください。怒りは吐き出すことによって気持ちはその分軽くなります。同じ意味で思いっきり泣くことも有効です。涙を出すことにリラックス効果や癒しの効果があることは良く知られています。

 

その他にも怒りの理由を紙に書きだすなど、怒りをコントロールする方法はさまざまに言われていますが、私はまずは自分自身で自覚を持つこと。そして一気に怒りや感情がエスカレートしないように、途中で一呼吸置くことが有効だと思います。