先日、霊視鑑定で会った方からこんな質問されました。「私は恋愛でいつも同じ失敗ばかりしています。仲良くなってすごく楽しい時期もあるのですが、必ず何か小さな問題に躓いて、そこにこだわって喧嘩になります。喧嘩になれば負けたくはないので、相手が言い返せなくなるまでやり込めてしまいます。そしてやり込められた相手は、私に幻滅して、”君とは一緒にやっていけない”と言って去っていきます。こんなことを何度も経験しているのに、感情的になると歯止めが利かなくなってそこまで言ってしまうのです。それで先日も1年間付き合った彼と別れました。謝罪の連絡は入れたのですが、返事は返ってきません。私はいつかは幸せになることができるのでしょうか」そんな質問だったと思います。
人間は本質的に頭で考えた通りに行動できる生き物ではありません。人間は感情をまとっています。そして感情にスイッチが入った瞬間、それまで思っていた自分の考えは吹き飛んでしまい、理性は効かなくなって感情に振り回されます。この感情を理性的に制御できる人はまずいません。私は今までに見たことはありません。感情のスイッチが入るポイントがいっぱいある人や少ない人はいます。スイッチが入ったときに台風のように大きく荒れる人もいれば、比較的小さく揺れて収まる人もいます。その程度に差があるだけで、人間は自分の感情を完璧に制御することはできません。どれだけ穏やかで器の大きな人でも、自分が触れられたくないことをしつこく追及されたり、自分が大切にしているものをバカにされたり冷やかされたりすれば誰でも腹が立ちます。
また、たばこが体に悪いとわかっていても禁煙できない人がたくさんいるように、頭で理解することと、それを行動に移すことには大きな隔たりがあります。ですから私は、「あの人は感情に振り回される人だ」と考えるのではなく、「人間とはそもそも感情に振り回される生き物だ」という前提に立って相手を見ることの方が現実にかなっていると思っています。
ただ、私に質問した人のように、頭で理解していても感情に走ってしまう自分は永遠に変えることができないのかと言えば、私は明確に「変えることはできる」と考えます。それは私の主観ではなく今までに延べ3万人を超える人たちと接してきた結果に基づく私の結論です。
私はこの方に言いました。「あなたの心の中には、どうして私はここまで相手を攻めてしまうのか。言わないで良いことややらないで良いことが分かっているのに、どうしてそれをストップできないのか。そんな自分に対する悔しさや怒りや悲しみが渦巻いています。その認識を持っていることがまず改善へ向けた出発点になります。その認識により、意識が変わってくれば、行動がおのずと変わってきますから、結果も変えることができるのです」
”思考パターン”という言葉がありますが、生活習慣のように染みついた悪癖は、そう簡単に変えることはできません。ただ、20代に10回禁煙に失敗して、30代でまた20回禁煙に失敗して、40代でまた禁煙をして、やっとタバコを止めることができた人が世の中にはたくさんいるのです。自分の行動が円を描くようにただ同じ失敗を繰り返して、同じところをいつまでも堂々巡りのように回っているように見えても、その円を横から見た時に、実は少しずつ螺旋階段のように上がっていることは良くあります。真上から2次元の世界を見ただけでは変化に気づかなくても3次元の視点で見ると同じ失敗ではなく、失敗の内容が少しずつ変化しているのです。それは目に見えるほど大きな変化ではなくても改善へ向けて前進していることになるのです。(2)へ続く。