先日、出張鑑定でお会いした方から「動物には霊感があるのですか」と尋ねられました。私の答えは「イエス」です。人間のように深く物事を考えないだけに、ある意味、人間よりも霊感は強いかもしれません。以前、このブログで”眷属”について触れました。眷属というのは神の使いという意味で、昔から蛇や狐などの動物が眷属として考えられていました。実際、私が霊的に問題のある神社仏閣へ行く際に、そこへ近づくと狐や猫が私を威嚇するために出迎えてくれることはよくあります。また、”狐憑き”という言葉があるように、狐の霊が人間に取り憑いて、人間に異常な行動をさせるという考え方も日本各地にあります。稲荷信仰では狐は稲荷神の使いとも考えられていました。つまり、動物には霊的な力があるという考え方は、昔からあったのです。
私がまだ学生だった頃、アルバイトでトラックの運転手をしていたことがあります。小さな運送会社で、コンビニエンスストアのお弁当を食品会社から積んで各地のコンビニへ配送していました。仕事は日勤も夜勤もあります。人手不足で忙しい時には、日勤が終わって会社に戻った後、そのまま夜勤に入り、ハンドルを握っていました。
あるとき、深夜に郊外のコンビニにお弁当を配達に行ったとき、お店の前にたまっていた不良少年たちとトラブルになりました。トラックをお店の前に止めて、お弁当を下ろしていると、頭にコンビニのビニール袋を巻き付けられた猫がお店の駐車場の中を怯えて走り回っていました。顔にビニール袋を巻き付けられた猫は前が見えませんから、必死で逃げようとしてまさに右往左往して逃げ回っていたのです。私はお弁当をお店に降ろした後、トラックに戻る際にこの猫を捕まえて、巻き付けられたビニール袋を取ってあげました。猫は興奮したまま、走り去っていきました。このことで不良少年たちとトラブルになるとは思いましたが、かわいそうな猫を見て放っておくことはできませんでした。
案の定、不良少年たちは私に難癖をつけてきました。彼らは数人いて私は一人です。普通に喧嘩をしても私はやられてしまうでしょう。恥ずかしながら私はお弁当を入れるプラスチック製の大きな箱を振り回して彼らと戦いました。ただ、それで殴れば怪我をさせてしまうという自覚はありました。ですから彼らを威嚇した後は、すぐにトラックに飛び乗ってそのコンビニを後にしました。
配達が終わって会社に戻ると社長が鬼のような顔をして私を迎えました。
「お前、店で喧嘩して商品をめちゃくちゃにしたらしいな」
私はお店の外に置いてあったものはいくつか倒したかもしれませんが、店内の商品も人も傷つけてはいません。ただ、社長の剣幕は私の弁明を聞く余地はありません。
不良少年たちは私がお店を出たあと、お店にクレームを入れ、コンビニの店舗から本部にクレームが入ったのです。配送会社の立場は非常に弱いものです。本部からお弁当を納品している食品会社へクレームが入り、食品会社は配送を委託している運送会社にクレームを入れました。ただ、運送会社はこのことで下手をすれば、食品会社から請け負っている配送の仕事を切られてしまう可能性もあるのです。私はその場で社長からクビを言い渡されました。「明日から会社に来るな」と。私は特に言い訳はしませんでした。ただ、「わかりました」と言って会社を後にしました。(2)へ続く。