私は以前、「夢なのか霊現象なのかは見分けがつきにくい」とこのブログで書きました。ただ、霊現象の場合は、不浄霊は目に見えない自分の存在を主張してきますので、夢ではないとわかるように体に手形を付けるとか、痣やキズを付けるなど、足跡を残していくケースが多くあります。そういった意味では霊体験はわかりやすいものですが、それでは夢には意味がないかと言えばそうではありません。”予知夢”という言葉がありますが、霊体験としての啓示ではなくても、夢によって危険を回避したり、災いから逃れることも現実にあります。

 

ポイントは夢にしろ霊体験にしろ、それを実際の行動にどのように結び付けて未来を変えていくのかが問題になります。人の未来はそのすべてが映画のシナリオのように運命的に決められているわけではなく、自分の選択・判断・行動によって良くも悪くも変わっていくものだからです。寿命のようにどうにも変えることのできない未来がある反面、勉強やスポーツや仕事では、頑張れば未来は良くなりますし、怠ければ未来は悪くなります。つまり、未来は現時点ではすべてが決定づけられてはいないのです。

 

私に以前、霊現象や予知夢について尋ねてきた方がいました。その人は東京に住んでいる方でしたが、友人と二人で関西への旅行を計画していいました。その時に予知夢を見たのです。ゴールデンウィークの休みを早めにとって友人と一緒に1週間ぐらいかけて関西一円の観光スポットを巡る旅行でした。その約半月くらい前に、夢の中で自分と友人が乗っていた電車が大事故に遭って激しい衝撃を受けたあと、電車が横転して意識を失ったそうです。そして、気が付くとつぶれた電車の車両に両足が挟まれて血だらけで膝から先がぶら下がっていたそうです。友人も全身血まみれで顔面は蒼白になってどれだけ呼び掛けても返事は返って来なかったと言います。実にリアルで恐ろしい夢で、思わず悲鳴を上げて目を覚ましたそうです。

 

この夢を見た時点でこれは今度の旅行で何か悪いことが起こることの啓示ではないかと感じて、旅行を取りやめるように友人に話そうと思いました。ただ、友人はこの旅行をとても楽しみにしていて、観光スポットも一生懸命探していたので、自分から旅行の中止を言い出すことはできなかったそうです。ただ、それから3日ぐらい経った後、友人から連絡が入り、友人もこの方とまったく同じ夢を前の晩に見たとの知らせでした。二人は自分たちが見た夢のことを話し合い、心配になってこの関西旅行は取りやめたのです。

 

2005年4月25日午前9時18分、JR福知山線で脱線事故が起こり、107名が死亡して562名が負傷しました。亡くなった方々のご冥福は心からお祈りいたしますが、4月25日はまさに彼らが関西で旅行をしている最中で、福知山線は旅行のルートにしっかり入っていたのです。しかも近くの旅館で朝食をとってから電車で移動したとすれば、午前9時18分にこの電車に乗っていた可能性も十分にありました。

 

彼らは予知夢によって命拾いをしましたが、もし二人が同時にこの夢を見ていなかったら、それでも旅行を中止できたでしょうか。つまり、夢にしろ霊現象にしろ、それを見たり感じたりすることも大切ですが、そのことをどのように受け止めてどのように行動に反映させるのか、そのことの方が判断が難しく、重要になるのです。(2)へ続く