私は物心ついたころから、多くの人が見えないものが見えたり、感じられないものを感じてきました。そのことはホームページやこのブログでも書いてきました。ただ、それ以外にもテレビ番組で気功を見て、興味を持った時期があります。日本では”硬気功”と言われる気功です。気功には体の中を流れている気血の巡りを良くすることで病気の治癒や健康に役立てる”軟気功”と大人の男性を気の力だけで倒してしまうような硬気功があります。テレビ番組では如何にも仙人のようなご老人が、屈強な格闘家たちを時代劇のチャンバラのように、バッタバッタと気合だけで指1本触れずに倒していました。子供の頃の私はその驚きのシーンに釘付けになり、単純に自分もこのような力が持てたらどれだけ良いかと思いました。私は本屋へ走り、気功法の本を買って熟読しました。そして見よう見まねで内気功や外気功の練習をしました。この時覚えた知識や訓練は今でもパワーや念を送る際に役立っています。

 

それから何年かして成人になったころ、私は気の力で格闘家を倒すことまではできませんでしたが、道を歩いている人をときどき振り向かせたり、犬や猫を振り向かせることができるようになりました。気功法の本に書かれた文章を1冊分丸暗記するぐらいに真剣に何冊も読み漁り、自然界にある気の流れを感じ取って自分の中に取り入れたりできるようにはなっていました。

 

私がまだ二十歳ぐらいのことです。そのころよくテレビに出ていた有名な気功師がいました。その気功師が私が当時住んでいた家から、車で15分ぐらいの場所で道場を開きました。私には当時、よく一緒に気功やテレパシーなどのトレーニングをしていた友人がいました。彼は大変な勉強家でスピリチュアルの世界の造詣が深く今はお寺の住職をしていますが、お互いに良い刺激になっていました。私は彼にこの気功師の道場がオープンしたことを伝え、一緒に体験入会しようと持ちかけました。

 

当時の私はまさに”若気の至り”で自分の能力を持て余していました。また、気功のコツがだんだん分かってきて私も彼も有頂天になっていました。怖いものなしだった私たちはビルの2階にある道場へ意気揚々と乗り込み、50人ほどの弟子たちの後ろにつきました。道場では”動功”という体を動かすことで気を循環させる方法を練習していました。私たちはしばらくは先生の指示にしたがって、先生の動きをまねながら体を動かしていました。それからタイミングを見計らうと、友人と事前に打ち合わせをしていた通り、気持ちを最大限に集中して、呼吸を合わせて自分たちのフルパワーを先生へぶつけました。

 

すると先生は一瞬、動きを止めて私たちを睨んだあと、私たちにすさまじい気をぶつけてきました。テレビ番組で見た格闘家のように本当に体が後ろに吹き飛ばされるかと思い、その場に必死で踏みとどまりました。頭の中は激しいめまいのようにグルグルと回っています。私たちは声を出すこともできないくらいフラフラで、まさに這う這うの体でビルの階段を何とか降りると、転げるようにタクシーに乗り込み退散しました。

 

この先生は今はすでに亡くなっていますが、こんな強烈なパワーは今でも他に感じたことはありません。世間知らずで調子に乗っていた若造にはとても良い薬になりました。この素晴らしい体験をさせて頂いたおかげで、私たちは本気でスピリチュアルの世界を勉強し、謙虚に訓練をするようになりました。私も友人もこの世界の奥深さと怖さを一瞬で嫌というほど体感したのでした。

 

私はよく霊の世界は「霊感があるから感じるとか、霊感が無いから何んとなくしか分からないとか、そんなソフトな世界ではありません」と話しています。体が腫れあがったり、関節が動かなくなったり、下手をすれば命を落とすくらいにその影響は強烈に出ます。目には見えない世界でも、すさまじい力が働いていることはあるのです。