先日、口寄せに行って30年前に亡くなったお父さんを呼び出してもらい、お父さんの気持ちや考えを聞いたところ、あまりにもひどい内容でショックを受けたと私に相談に来た方がいました。その方は私に改めて亡くなったお父さんとつながってもらい、お父さんの考えを確かめたいということでした。私は自殺や事故など特別な死に方をしていない場合、それだけ時間が経ってしまっては「私はつながることができません」とお断りしました。
人は死んで肉体が無くなると、魂は肉体を離れてしばらくの間、現世にとどまります。そして生まれた場所から亡くなった場所まで何度も旅をしながら自分の人生を総括します。そして「自分にとっての人生がどのようなものであったのか」自分なりに答えを出して、納得をしてあの世へ上がっていきます。この期間は私の感覚では49日~3年ぐらいです。この日数の違いは、納得のできる人生を送った方は、早くあの世へ上がります。後悔や間違いばかりの人生を送った人は、なかなか納得できる答えを出せませんのであの世へ上がるまでに時間がかかります。あの世へ上がった魂は、生きていた時の記憶を消されて来世へ生まれ変わる準備をします。そしてやがては来世に生まれ変わります。この期間は通常では30年~80年ぐらいです。こうやって人間は何度も輪廻転生を繰り返しながら生き続けていきます。
そう考えると30年前に病気で亡くなられたお父さんの魂を口寄せが降霊させたという話は、私からすると納得がいきません。亡くなって30年という年月を考えると、お父さんの魂はすでに生まれ代わって誰か別の人の人生を歩き始めた可能性さえあるからです。
私は今、生きている人や現世にとどまっている魂とは、波長が大きく離れてなければつながることができます。自分で直接つながりますので、特に霊媒に降霊させるようなことはしません。ですから口寄せなどの降霊がいったいどういう感覚のものなのかはまったく見当がつきません。
ただ、口寄せなどの降霊を見ていると、死んだ人の魂が下りてきてつながっているのではないケースが多いように思います。降霊はそのすべてを否定するものではありませんが、私から見て、口寄せが死んだ方の魂ではなく、目の前にいる依頼者とつながっているように感じることが度々あるからです。
私に相談した方も言っていました。口寄せの口調は確かに亡くなったお父さんにそっくりだったし、自分とお父さんしか知らない話も出てきたそうです。そうなると口寄せは死んだお父さんの魂とつながったように思うかもしれません。ただ、それは口寄せがお父さんの魂とつながっていなくてもできることです。依頼者とつながることができれば、依頼者の意識や記憶の中にあるお父さんの記憶やイメージは感じ取ることができます。その結果、依頼者の記憶の中にあるお父さんの口調を再現したり、依頼者の記憶の中にあるお父さんとの思い出を語ることもできるのです。私は魂の降霊ではなく、そういったつながりで回答している口寄せが多いように感じてしまうのです。
したがって私に相談に来た方には、「お父さんは何か特別な感情を抱いて無くなっている感じはしませんから、きったあなたの身を案じ、心配しながら亡くなっていかれたはずです」とお伝えしました。それは気休めや励ましではなく、実の娘を嫌ったり憎むような強いネガティブな思いがあれば、それは念としてこの方の周囲に漂っているものだからです。