お婆さんとの付き合いが1年を過ぎた頃、お婆さんは私に言いました。

「先生がいてくださる間は楽になるけど、帰るとすぐにまた元に戻っちゃう。そうかといって先生にずっとここにいてもらうわけにもいかないから、何か先生の人形でも作ってもらえませんか」

お婆さんは真剣でした。痛みや苦痛からひと時でも解放されるなら、誰でも楽になりたいと考えます。そして何かの方法で一時的に楽になった状態が継続できるなら、それを望むことも当たり前です。

「それと先生のマントラが足を良くしてくれるなら、テープに録音して一日中聞いていたいから、今度、録音してきてくださいませんか」

私はすぐに答えました。

「残念ですが、お人形もテープの録音も効果はありません。私がいる間、体に楽になるのは私がパワーを送っているからです。マントラは音が重要ですが、マントラを唱えながらさまざまな念を飛ばしています。人形からパワーは出ませんし、テープに録音した音から念は飛びません」

お婆さんは少し恥ずかしそうな顔をして納得しました。

 

神社仏閣で売られているお札やお守りも同様です。神職や僧侶が強く念を込めながらお札の文字や図柄を書いていくから、そのお札は効果が出るのです。和紙に機械で印刷して、アルバイトの巫女が木に巻き付けて印章を押しただけのお札には何の念もパワーもこもりません。印刷機が念やパワーを出すことはないからです。したがって私は神社仏閣で売られているお札やお守りに力を感じたことはめったにありません。

 

そういった意味では神社で行うお祓いにもどこまで効果があるのか疑問に思うことがあります。なぜなら私が除霊を行うとき、私はその人の霊的な波長を感じ取り、憑いてる不浄霊の波長も感じっ取ってつながりながら、憑かれた人や憑いている不浄霊に対して有効なお経やご真言をチョイスしてぶつけていきます。

 

仮に一人の除霊で10個のマントラを唱えるとき、3つくらいは毎回唱える誰もに効果のあるマントラを唱えます。ただ、残りの7つは人や状況によって唱えるマントラは変わります。そうしないと効果が出ないからです。よく神社などで20~30人を前にしてお祓いをしている様子を目にします。私の感覚では20~30人のすべての人に同じ祝詞で効果的に祓うということが分かりません。人それぞれで霊的な波長も異なりますし、状況も違うからです。

 

お婆さんもそうですが、有効にパワーを伝えるためにはその人の霊的な波長を感じ取り、その波長でパワーを送らなければ相手には入りません。さらにその人の状況を強く意識して、改善するように念を飛ばすことも必要です。つまり、相手や状況に対応してパワーを出すことがポイントになります。