霊の憑依を受けている状態は、自分の中に別人格が入り込んでいるようなものです。また、霊に憑依されたとき、その霊は自分の波長に近い別の不浄霊を呼び込みます。したがって除霊をするときに、1体だけ祓うことはむしろまれで、普通は3体とか5体とか複数の不浄霊を祓うことになります。霊の影響は心身に出ます。それは憑依した霊が亡くなったときの状態が自分の心身に投影されるか、元々自分の体のウィークポイントだった場所が重症化するケースのどちらかになります。
大酒のみで体を壊して亡くなり、不浄霊となった霊に憑依されたお酒の飲めなかった主婦は、その日からお酒を飲まなければいられなくなりました。病院で治療しましたがまったく効果はなく、家族がお酒を隠しても探し出して一日中お酒を飲んでいます。家の中のお酒をすべて撤去すると、有り金を全部はたいてお酒に変えてしまいます。自分でも異常なことはわかっているのですが、どうすることもできないのです。
事故に遭って両目を失明してしまい自殺をした人の霊が憑いた男性会社員は、その日から視力がどんどん低下していきました。何カ所も病院を回りましたが、原因自体が全く不明です。そして失明する手前で人づてに私のことを知って尋ねてきました。私がすぐに除霊をしてこの霊を祓うと目に見えて視力は回復して、失明をまぬがれました。
霊の憑依を受けると精神的にも強く影響を受けます。自分でもおかしいと思い多くの人は精神科や心療内科を訪ねます。そこで自分の状態を話すと医師はよく”自律神経失調症”とか”うつ病”と診断します。これらの病気で出る症状と霊の影響で出る症状はとてもよく似ているのです。また、憑依した霊の数だけ自分の中に別人格ができますので”多重人格障害”と診断された人もいました。医師はこれらの病気を治すために薬を処方しますが、原因はそこではありませんので効果はまったく上がりません。そして薬の量が増えていき、副作用だけが残ります。そんな状況に陥った方を今までに何人も見てきました。
他には幽体離脱や瞬間移動というものもあります。私は今はときどき霊障を受けることはありますが、霊的には比較的安定しています。ただ、思春期の頃は霊的な意味でとても不安定でした。意識が一瞬で飛んでしまうこともしばしばありましたが、夜寝ている時に幽体離脱することも何度も経験しました。幽体は霊と同じように肉体を持ちません。ですから自分の意識で行きたい場所へ瞬間移動することができます。ある時期、私はそれがとても楽しくて、自らの意志で幽体離脱するように意識を向けていました。
あるとき幽体離脱した私は、学校へ移動して校舎の中を漂っていました。私は部室へ向かい木でできた部室の壁を触っていました。そのとき私の指に棘が刺さりました。そして朝起きて指をみると、同じ場所に棘が刺さっていたのです。私はこの時に幽体離脱は本当にあると確信したのです。
ただ、何度も幽体離脱をしているうちに、幽体が肉体から離れやすくなっていきました。それと同時に今度は肉体に戻るときに戻りずらくなっていったのです。あるとき幽体離脱をした私はベッドで寝ている自分の肉体に戻ろうとしました。ところが何度試みても全然肉体に入れなくなってしまいました。その時、寝ている私の顔を見ると、どんどん血の気が失せていき、死人のように生気のない顔になっていきました。最後には何とか戻ることができましたが、あと10分遅れていたら私は死んでいたかもしれません。このことがあってから私は怖くなって、自分の意志で幽体離脱することは辞めました。
このように心霊現象や霊障はさまざまな形で起こります。その影響を受けた人が進む先は”孤立化”になります。社会から孤立し、会社でも孤立し、家庭でも孤立して、最後は生きていくことの意味を見失います。心霊現象や霊障も怖いものですが、本当はそれよりもこういった形で人生をゆがめられる方が、もっと恐ろしいことなのです。