先日、家族の状況がずっと悪いと心配されている方のご自宅へうかがいました。ご主人はいつも体のどこかが痛んでいて医者が離せません。奥さんは元々人付き合いが苦手ですが、ここ数年は知り合いに会うのが嫌で、ほとんど外へ出られなくなっています。二人のお子さんも勉強で伸び悩み、この年の大学受験と高校受験でともに志望校を不合格になってしまいました。そのことで奥さんの不安がさらに広がり、何かこの家に問題があるのではないかと考えて私に連絡してきたのです。この家族の住む家は、数年ぐらい前にこの場所に新築しました。この土地は元々ご主人の実家が持っている土地で、近所にはご主人のご実家もあります。

 

私は家に入りすべての部屋を見させてもらいました。家の中には霊ハク(=人間が無意識に出しているネガティブな想念の塊)がかなりたまっていましたが、それはこのご家族が出したもので、外部の人間のものではありません。この土地自体にも何か霊的に障るものは感じません。

 

ただある方向から家の中に悪い”気”が入り込んでいて、それは霊道のようにとどまることなく次から次に家に入り込んでは悪い”気”(エネルギー)をまき散らしていました。

 

私はその方向を指さしてこの先には何があるのか尋ねました。奥さんは、「裏山になっていますが、特に何もありません」と答えました。私は外に出て、悪い”気”を感じる方向へ裏山を登っていきました。

 

すると50mほど登ったところに小さな”祠”(ほこら)がありました。祠とは神様を祭る小規模な殿舎のことで、中には仏像や神像が納められていることもあります。ただ、この祠は中には何も入っていません。ただ、この祠の設置された地面から強烈な悪い気が家へ向けて流れ込んでいました。

 

ご主人によると、この祠はご主人が子供のころからこの場所にあって、中はそのころから抜け殻のように何も入ってはいなかったそうです。ご主人の実家の土地ですが、家族もまったく管理していなくて、誰がいつここに祠を設置したのかもわからないと言います。

 

私はこの祠を前にすると、何度も嫌な景色が浮かんできました。武士が最後まで抵抗しながら敵に斬り殺される様子や断末魔の叫び声、そしてとどめに首を切られ、噴水のように飛び出した真っ赤な鮮血。それも一人ではなく、3人の武士がこの場所で亡くなっています。戊辰戦争での出来事です。

 

この祠は亡くなった武士の魂を鎮めるために、仏像を入れて当時の村人が設置したものです。そのころは花やお供え物も供えられていましたが、いつしかお供えをする人もいなくなり、仏像も盗まれて荒れ果ててしまっていたのです。供養のために置かれた仏像が無くなったことで、死んだ武士たちの無念の思いは、果てることなく周囲に撒き散らされました。それがこの祠の最も近い場所に住んでいたこの家族に悪影響を与えていたのでした。

 

私は鎮魂の念を込めて3体の木彫りの人型人形を作りました。そして霊や念を鎮める力のあるモリオンと共にこの祠の中に納めました。そして2度と盗まれることが無いように観音開きの扉を閉じました。それからこの家族4人の人生は明らかに良くなっていきました。(2)へ続く