他に感度を狂わすものとしては”欲望”があります。霊能者はよく、「他人のことは見えても自分のことは見えない」と言われます。欲は霊感の精度を確実に狂わせます。どうしても自分に関することには欲が入り込んでしまいます。客観的に観ようと努力しても、どこかに自分の願望が入り込んでくるのです。その結果、選択を誤ることもあります。

 

私も今までに信用した人に裏切られたことが何度もあります。相手を信用して話したことを逆手に取られて後で苦境に陥ったこともあります。普段の私ならその人の人間性はすぐに見抜けるようなケースでも、どこかに欲が入り込んだ瞬間に見えなくなってしまうのです。

 

アルコールもダメです。酒に酔っていたり、薬などを飲んでボーっとしているような状態では、正確に過去や未来を感じ取れません。私は本来、お酒は好きで、大学時代や卒業した後のサラリーマン時代はよくお酒を飲みました。ただ、この仕事をするようになってからは、お酒が残っていると感度が鈍ってしまい、本来ならしっかりと見える未来の状況が、正確に感じ取れなくなります。これはかなりのストレスになります。したがって仕事に臨む使命感としてお酒を飲まないというよりも、このストレスが非常に不快ですので自然とお酒は飲まなくなりました。

 

この感度について言えば、難しいのは「モチベーションを上げて、やる気を出せば良くなる」というものではないことです。勉強やスポーツや仕事などでは、良い結果を出すためには、努力することが必要です。頑張ればそれは良い結果に結びつきます。

 

ただ、この世界はやる気を出して頑張ろうとすると、却って力が入ってしまい良く見えないことが多くあります。以前に、生霊(念)を飛ばすということは、自分の意識の中に、恨みや憎しみなど強いネガティブな思いが刻み込まれていることと共に、脳の波長がα波であることが条件であると書きました。この2つは完全に矛盾した状態なので、意識的に生霊を飛ばすことは相当に訓練をした人でないとできません。ですから多くの場合、生霊は出している本人も気づかないままに無意識に発信されています。

 

霊の世界に入り込もうとするときに、この”α波”というのが大きなポイントになります。α波の波長というのは、寝る前や起きた直後のぼんやりしてリラックスしている時に出る脳波です。モチベーションを上げて頑張ろうとすればするほど、このα波から遠ざかります。その結果、却って未来は感じ取れなくなってしまうのです。

 

この世界の修行をする人がよく座禅を組むのは、座禅の姿勢は、丹田に重心が落ち着き、背骨の上に脳が乗ることで安定し、α波が出やすくなります。座禅の効果はさまざまに言われていますが、私はその最大の効果は、α波を出すことではないかと思っています。それはこの世界で何かの作業を行う上では絶対に必要なことなのです。