魂が人間の肉体に宿り、肉体が無くなるたびに輪廻転生をしているとします。魂は輪廻転生を繰り返しながらいつまで生き続けていくのでしょうか。

 

私は魂が正常な状態で輪廻転生を繰り返している限りは永遠に生き続けていくものだと思っています。ここで”正常な状態で”とことわりを入れたのは、正常ではない状態になることがあることを私はしばしば実感しているからです。

 

今、肉体に宿っている私や皆さんの魂は、それこそ太古の昔から何回も輪廻転生を繰り返して今に至っています。ほとんどの魂は、人生を経験する中で、良いことや悪いことをして、喜びや苦しみを感じながら、死んだ後はあの世へ上がり、また生まれ変わります。生きている間に作った「因」と「果」だけが来世へ持ち越されます。ただ、私はそういった輪廻転生のループから外れてしまった魂としばしば向き合うことがあります。不浄霊(=成仏できていない魂)の除霊や浄霊がそれに当たります。

 

ほとんどの魂は生きている間に作った深い悲しみや憎しみ、恨みや屈辱があってもいずれはあの世へ上がっていきます。それが魂の定めです。ただ、まれにその度合いが非常に深く、重いものを抱え込んでいると、その重さゆえに何年経ってもあの世へ上がることができなくなります。あの世へ上がることのできない魂は不浄霊となって何年間も現世にとどまります。その間、霊的な波長の合う人がいれば、同調することができますので、因縁因果が無くても憑依して悪影響を与えます。

 

私は今までに千人を超える方々を除霊してきましたし、百人を超える方を浄霊してきました。浄霊ではマントラや印などを武器に不浄霊と対峙しながら諭していきます。そして最終的には不浄霊の持つ強い執着を捨てさせて、自らの意志であの世へ上がっていくように導きます。それは悪影響を受けている人を救うのと同時に、重たすぎる負の思いによってあの世へ上がれなくなっている魂を救うことでもあります。

 

除霊や浄霊では随分と古い霊に遭遇することもあります。ただ、一体だけ鎌倉時代の武士の霊を浄霊したことがありますが、普通は古くても戦国時代ごろまでの霊しか現れることはありません。織田信長が生まれたのが1534年ですから、具体的に数字でいうなら500年ぐらいまでが、魂として現世にとどまれる限界だと感じています。

 

霊は肉体が無いだけで、私には生きている人間と同じように見えますが、それ以上古いものは、人としての形が崩れていき、体のあちこちが欠損していたりします。そこからさらに時間が経つと、もう人としての形はまったく崩れて、泥や埃のようになってしまいます。私はそういうものを差して”霊的なもの”と呼んでいます。ここまできてしまうと、もうあの世へ上がることはできません。輪廻転生のループから外れて現世で霧散して永久に消滅します。

 

ですから私が何体かみた平家の落ち武者は、そのすべてが人らしき形はしていますが、意思のある霊体では無くなっています。意思のない霊的なものとして悪影響を与えるのみなのです。