以前、「息子の様子がおかしいので、家に来て見てほしい」とご両親から頼まれました。息子と言っても年齢は30代の半ばです。独身で自動車整備工場で働く自動車整備士の男性です。その男性は自動車がとても好きで、休日の前夜には改造した車で峠へ走りに行くいわゆる”走り屋”でした。仕事ぶりはまじめで、お酒や博打で身を持ち崩すこともなく、時間があれば車で飛ばしているような男性でした。

 

ご両親の話では3か月ほど前から、急に体調を崩していろいろな病院で検査をしたものの原因は見つからず、精神科や心療内科でも病気を発見することはできなかったと言います。実家の自分の部屋に引きこもってしまい、会社もずっと休んでいて、大好きだったドライブにも行かなくなったそうです。さらに深夜に奇声をあげたり、突然笑いだしたり、本人とは思えない声でブツブツと独り言を言い続けることもあるそうです。まさに憑き物に憑かれたような状態で、人を介して私に依頼してきました。

 

私はこの実家の敷地に入った瞬間に体がぞくぞくと震え、霊の影響を強く感じました。こういった場合、この家の土地に何かが憑いていることや家族の家系(血筋)に何か霊的な問題があることがよくあります。あとは本人に誰かが生霊(念)を飛ばしていることもあります。

 

人間の体(心身)は頭よりもはるかに敏感です。頭で考えて分からないことでも、体は敏感に感じ取って反応します。霊体や念など霊的なものは、例えるなら”風”のようなものです。風は目に見えませんし、音もしませんが、体に当たると鳥肌が立ったり震えたりします。霊的なものも同じです。普通の人には見えませんし、音もしませんが、自分の波長に合ったものとはつながることができますので、つながれば体は反応するのです。

 

ただ、このケースでは家の土地にも家系にもまったく問題は感じませんでした。生霊が飛んできているとも感じません。ただ、間違いなく何か霊的に強いものが息子さんに悪影響を与えているのです。

 

私はまず、息子さんの部屋に入り、本人と対面しました。顔を見た瞬間に、霊的なものに憑かれていることは明らかでした。若くして亡くなった霊でとても強い恨みの念を抱えています。この霊の波長が息子さんの波長と非常に近かったため、息子さんに憑依して悪影響を与えているのです。

 

ただ、この霊がどこで息子さんに入ったのか。その元凶がこの家の敷地の中にとどまっていますので、それを祓わないと、息子さんの除霊をしても、私がいなくなればまた息子さんに憑依してしまいます。私は家の中や敷地の中を探しました。息子さんに憑いているあの若者の霊の波長を警察犬のように辿りながら、元凶を探したのです。(2)へ続く