今から100年以上も前のこと、アメリカの医師が、死に際して魂が肉体から抜け出るとすれば、その分体重が軽くなると考えて、その変化を測定しようとする実験を行いました。ダンカン・マクドゥーガルという医師は、死を目前にした結核患者のベッドをはかりに乗せて、死ぬ前と死の後で重さを比較したところ、21グラム(4分の3オンス)軽くなったと発表したのでした。
これは当時はとても衝撃的に受け止められましたが、すぐに疑問の声が数多くあがりました。まずは調査の対象が人間6人と犬15匹しか行わなかったこと。しかもマイナス21グラムという数字も最初に調査した人のみの測定値で、他の人や犬ではそのような変化がなかったこと。また、サンプル数が少ない上に、測定の精度も低く、信頼できなかったこと。そして死後、遺体からは水分が蒸発していくので、重さが軽くなることは当然であることなどが挙げられます。
私は人の魂は死んで肉体が機能を停止した段階で、肉体を出てあの世へ上がり、やがて来世へ生まれ変わる輪廻転生が行われていると考えています。ただ、この実験では、魂というものを物質と考えていることが間違っていると思っています。物質であれば重さはあるものと考えますが、物理学でいうところの反物質のような性質をものではないかと考えています。つまり魂は重さが無くて存在しているものです。
先日、友人の葬儀に出て、死に顔を見た時に、「小さくなったなあ」と感じました。人間の体は成人の場合は約6割が水分で出来ています。水分の割合は加齢とともに低くなっていきます。したがって死後、時間が経って自然と乾燥していけば、水分が蒸発して小さくなるのはある意味当たり前のことです。ただ私は、それ以上に魂の抜けた肉体は、その分、小さくなるような気がしてならないのです。
いつか、そもそも魂が存在するのかどうかも含めて、科学的なスタンスでこのことを解明できる時代が来ることが待ち遠しいです。