今回の都議選を見ていてとても分かりやすい事例だと感じましたので私の視点から触れてみたいと思います。今回の都議選の結果は皆さんもよくご存じの通り、57議席を持っていた自民党が23議席しか獲得できないという大惨敗を喫しました。この数字は普通ではありえない負け方です。なぜこのような結果になってしまったのか。
マスコミでは連日、特集を組んで、都民ファーストの会の大躍進とともに、森友問題や加計問題、自民党代議士の問題発言や安倍さんの責任を追及する論陣を張っています。私は政治の専門家ではありませんし、特に支持政党もありません。むしろこういった世界には目を向けないで生きてきた人間です。
ただ、マスコミが自民党大惨敗の戦犯探しをして、安倍さんや菅さんや下村さんや稲田さんや豊田さんの名前を挙げていますが、私からするとどなたも主犯には思えません。私からすると自民党が敗北した戦犯を挙げるとすれば、間違いなく”森喜朗さん”としか思えないのです。もちろん、こんなことを言っている政治評論家は誰一人いませんし、特に自民党や森さんを責める意図もありません。
まず、問題は昨年7月に行われた都知事選挙に遡ります。舛添さんが辞任した後の選挙です。この都知事選挙に際して、当時自民党員だった小池さんは、党に立候補の推薦願を出しました。ただ、党内の手続きを踏まずに、勝手に立候補を表明した小池さんに対して、党内から批判の声が上がり、自民党は小池さんを推薦しませんでした。そして自民党東京都連は増田前岩手県知事を擁立して”小池潰し”に動きました。
この時に小池さんの推薦願に最も反対した実力者が森元首相でした。森さんと小池さんは元々確執があって、この二人が以前から対立していることは周知の事実でした。森さんが悪感情を持っている小池さんの推薦を認めるわけはなく、自民党都連の幹部たちも小池さんに悪感情を持っていたため、急きょ増田さんを擁立しました。
ここがそもそもの間違いです。私は第111回目のブログで”悪感情を持つことは「その人の未来を悪くする」と書きました。ところが自民党本部も自民党東京都連も悪感情によって小池潰しを図り、そこを出発点にして増田さんを擁立しました。そんなやり方が上手くいくわけはありません。その結果、増田さんは落選して小池さんが当選しました。
このとき都知事になった小池さんはその時点でまだ自民党員でした。ですから同じ自民党員として自民党東京都連は、選挙では負けましたが小池さんを祝福することもできたはずです。ところがあいさつに来た小池さんと握手すら拒んでさらに悪感情を膨らませたのです。
もし、このときに悪感情を持たずに小池さんを祝福することができていれば、小池さんは自民党にとどまっていたかもしれません。そうなれば自民党の小池知事の人気で、今回の都議選では自民党は惨敗どころか躍進していた可能性さえあったはずです。それでも負けたとしてもここまでの負け方はなかったはずです。
ですから小池さんの都知事選挙に推薦を拒んだ張本人の森さんが、今回の都知事選挙の自民党大惨敗の戦犯だと感じたわけです。そして小池さんに悪感情を膨らませた自民党東京都連の幹部たちもそのほぼ全員が落選したのです。
”悪感情を持つことは未来を悪くする”まさにその典型的なケースと感じた今回の都議選でした。皆さんもご自身の感情の制御には十分に気を付けてください。
