不浄霊がここまで執拗に私に付きまとう理由はいくつかあります。たとえばこれから除霊や浄霊を行う予定を組んだり、結界を張ろうとしたりする場合、祓われる不浄霊はそのことを察知します。それは憑いている人が私を話しをしているところを見ていますので一目瞭然です。そうすると不浄霊は私や祓う人に攻撃を仕掛けてきたり、タイミングをずらしてアクシデントに遭わせたりして、実行できないように邪魔をしてきます。

 

私に付きまとってチャンスをうかがい、油断をすると階段で背中を押してきたり、ホームの端を歩いているときに霊の波長と近い人に憑依して、私にぶつかってきたりするのです。つまり、私の邪魔をするための付きまといです。

 

また、私に何かをさせるために付きまとってくることもあります。霊は私が霊の存在を感じることができる人間であることをわかっています。過去には事件で殺された霊が、自分の遺体を見つけてほしくてしつこく私に付きまとってきたことや身内に自分が死んだことを伝えてほしいといったケースもありました。

 

私は霊に付きまとわれたときには、知らん顔をすることにしています。それはあの世へ上がれない霊は恨みや憎しみ、後悔や悲しみなど何か強い負の理由を抱えています。そこにかかわりを持つことは何か煩わしいことに巻き込まれることはあっても私にとって良いことは何もないからです。ですから霊が目の前まで迫ってきても、私は何も見えないふりをして視線を合わせません。

 

ただ、そうすると私が黙っているのをいいことに、目の前に顔を近づけて臭い息を私の顔に吹きかけたり、ひどいときは私の頬っぺたをはたいたりつねったりしてくるものもあります。そんな時は私もキレていきなり大声でマントラを唱えて退散させます。

 

あとは救いを求めて私に付きまとうケースです。強い負の思いを抱えてあの世へ上がれない霊の中には、現世にとどまっていることの苦しさに耐えかねて早くあの世へ上がりたいと思うものもいます。長く現世にとどまっている不浄霊は、自分自身の思いの重さが足かせになっていることに気が付かず、その思いに縛り付けられているのです。そんな霊は自分はどうすればこの苦しみから解放されるのか、霊を感じることのできる私に導いてほしくて私につきまといます。

 

こんな不浄霊を見るたびに、誠実で思いやりややさしさに溢れた悔いのない人生を送りたいものだとつくづく感じます。