霊と言うものは、肉体がないだけで感情もあり、欲望もあり、つくづく生きている人間と同じだと思うことがよくあります。以前、不浄霊の問題で悩んでいる女性から相談を受けました。彼女の部屋には毎晩のように不浄霊がやってきています。その不浄霊は彼女の体の上に載ってきたり、体を触ったりしてくるそうです。それは明らかにこの女性をレイプしているようだと言います。嫌がるこの女性は、この不浄霊を払いのけようとしても金縛りに遭って体は動きません。しかも周囲にはこの様子を見ようとしてやってくる何体もの不浄霊の目が光っているというのです。

 

生きていた時に自分の欲望を抑えられず、犯罪に走ってしまうほど性欲の強い人間は、死んで肉体が無くなってもなお、異性の肉体を求めて不浄霊化してしまうことがあります。そういった不浄霊は、自分の気に入った異性を見つけ、その人と波長が合うと、ターゲットにして毎晩のようにやってきます。肉体は無いのに欲望だけは残っていて異性の体を求めてくるのです。

 

さらに最悪なのは、この不浄霊と波長の近い別の不浄霊も、こういった場合、元凶となっている不浄霊に引き寄せられて一緒にやってくるのです。そして襲われている様子を一緒になって観察しているのです。

 

考えてみれば生きている人間にも、異性の体を求めて襲うような卑劣な人間はいます。そしてそれを目撃した時に、止めさせるどころか傍観して楽しんだり、加担するような人間も現実にはいます。この不浄霊のやっていることは、まさに欲に巻かれた最低な人間の所業と同じです。

 

そもそも不浄霊となるような魂に”良い魂”はいません。普通に生きてきた人間は、死んで肉体が無くなった後は、やがてあの世へ上がって輪廻転生します。そのサイクルから外れた不浄霊は外れるだけの悪い理由に溢れた魂なのです。現世にとどまっている霊に良い霊はいません。良い霊はやがてあの世へ上がっていくのが定めだからです。

 

霊能者は、こういった霊に対しても本来は冷静に心を鎮めて対処するのが正しい姿勢です。ただ、私はそれができません。ある意味私は霊能者としては邪道なのかもしれません。被害に遭っている女性の悔しさや怒りや無念の思いを考えると、とても心を鎮めることなどできません。彼女の体に付けられた不浄霊の手形や傷を見ると、自然と怒りが燃え上がってしまいます。こういったケースでは私はその怒りをパワーに代えてこの不浄霊と対峙します。

 

そしてこの不浄霊が二度とこの女性のところに舞い戻ってこないように、徹底的にいためつけて、残酷なまでにいためつけて不浄霊を退散させます。そしてその後は自己嫌悪にさいなまれます。人生は生きている限り修行だと思っていますが、私の修行の道はまだまだ先が長そうです。