以前、テレビを見ていた時に、”老舗旅館の開かずの間に潜入”という番組を見かけました。旅館のご主人や女将さんも入ったことがないというその部屋の扉には大きな南京錠がかけられていました。鍵を開けて中に入ると、そこにはかなり異様な光景が広がっていました。床や天井・壁の一面に隙間なく細長いお札がびっしりと貼られていたのです。
私はこの映像を見てすぐに状況を理解しました。おそらく昔、この旅館のこの部屋の中でしばしば怪現象が起こっていたはずです。それも”幽霊を見た”といった軽いレベルではなく、宿泊客が自殺をしたとか、精神的におかしくなったとか、殺人事件のようなトラブルが頻発したとか、命にかかわるような重大な問題が起こっていたはずです。
そこで当時の旅館の主人は、僧侶か神職にお祓いを依頼しました。そして僧侶か神職は部屋の中にこもっている霊的なものを祓った上で、再び入り込むことがないようにお札を室内の2カ所ないし4カ所に貼って結界を張りました。ただし、その不浄霊の力は強く、お札を4カ所貼ってもお札とお札の中間に当たる結界の最も弱いところから部屋に侵入してきます。そのため今度は4カ所貼ったお札の中間に当たる4カ所にお札を貼って結界を強化しました。それでも不浄霊は侵入してきたので、今度はまたお札とお札の中間に当たる8カ所にお札を貼って結界を強化しました。この時点でお札の数はすでに16枚になっています。
それでもまだ不浄霊の侵入は続き、怪現象は収まりません。その結果、16枚が32枚になり、32枚が64枚になり、最終的に室内の床や壁や天井に隙間なくびっしりとお札が張られることになったのです。それでもこの部屋の怪現象は収まりませんでした。そしてついには被害者が出ないように”開かずの間”にして立ち入りを禁じたのです。
こういったことは私も何度も経験しました。私がお渡ししている”霊符”や”神符”は一文字一文字書き込む時に、念を強く込めて文字や図柄にします。そういった意味では神社仏閣で売られてる印刷されたお札とはパワーが違います。それでも2枚では結界を破られ4枚でも破られ、8枚でも破られて16枚で室内を守ったことがありました。
言い換えれば人の執念・怨念という負の思いは、それだけ強く執拗なものなのです。