出世する人としない人の差はどこにあるのか。この問題は、雑誌や書籍でも過去に何回も取り上げられたテーマです。「組織内に敵を作らない」とか「社内営業に優れている人」とか「向上心のある人」とかコミュニケーションや心理学の専門家がさまざまな切り口で回答しています。
私もこの質問を何度か受けたことがあります。私は相談者の個性に応じて回答しますので、答えは誰でも一様ではありません。ただ、多くの場合、「まずは、あなた自身が自分で出世を望み、自分は出世できると確信できるかどうかでしょう」と答えています。
昔、マスコミに勤めていた時に、上場会社の役員について調べたことがあります。サラリーマンにとって”上場会社の役員”とは、まさに出世の象徴です。この地位にあこがれている人も多いでしょう。ではこの地位に上り詰めた人にはどのような共通点があるのか、それを調べたのです。
会社の企業風土はそれぞれで異なりますし、求められる人物像も違いますから、なかなか共通点は見つからなかったのですが、明確な共通点が一つありました。それは入社した時に「私はこの会社で出世すると思った」と言うことです。中には初めて会社に来た時に「自分はこの会社の役員になる」とハッキリ思ったという人もいました。そして、サラリーマン生活の中で、地方や海外に飛ばされて、周囲から出世のレールから外れたと思われていた時も、自分は「いずれ必ず役員になる」と思い続けていて、その気持ちは揺らがなかったということです。
自己啓発本や成功哲学の中には、潜在意識の活用について述べているものがたくさんあります。ただ、難しく考えなくても、自然にこれだけの思いを持ち続けていることができれば、その未来が現実化されることはあると私も思います。
人間の思いは非常に強力です。意識の領域と無意識の領域を比べれば、圧倒的に無意識の領域の方が広く深いものです。人生は選択の連続ですが、人は無意識に(=何気なく)選択することがとても多く、人の思いはこの無意識に作用します。
ですから”自分は必ず出世する”と自然に確信が持てる人は、その思いが潜在意識に働いて無意識のうちに出世をするような選択・判断・行動をとっているのです。だから出世をするわけです。ここに特別な努力は必要ありません。必要なことは、”自分が自然にそう思えること”それだけでよいのです。
”不安な気持ちが不安な未来を呼ぶ”といいます。だとすれば逆に、ポジティブな思いはポジティブな未来を作ることにもなります。いつも良い思いを持ち続けて生きている人は、おのずと良い人生を歩むことになるのです。