お嬢さんの心にできた大きな穴を私が埋めたことでお嬢さんは精神的には安定しました。その結果、お嬢さんは家の中で暴れたりご両親に暴言を吐くことも無くなりました。教祖に対してもはっきりと”騙されていた”と口にするようになり、教祖による洗脳は解けました。
その分、お嬢さんは私に依存するようになり、日常生活の小さな問題も私に判断をゆだねなければ行動ができなくなっていました。一例を挙げれば、「洋服を買うデパートをどこにすればよいのか」とか、「食材を買いに行くスーパーはどこにすればよいか」といった具合です。
そこで最後に、お嬢さんの心の中に在る私の存在を少しずつ軽くして、私とお嬢さんの距離を離していきます。気持ちの距離を離していくためには物理的な距離を離していくことも大切です。
具体的には最初は何かの問題があればすぐに家まで飛んで行っていた私が、精神的に安定した今は、よくよくのことがなければ家まで行くことを控えました。そして質問にはメールで回答するようにしていきました。また、最初は質問のメールが来てすぐに回答していましたが、返事をするまでに少しずつ時間を置くようにしました。それは時間を置くことで自分で判断して解決するようにするためです。
その結果、私がこのお嬢さんと会うのは1か月に1回になりました。この1回は、お嬢さんの近況をチェックするとともに、また他の依存先を探し始めないようにするためです。
お嬢さんはいつしか、この1か月に1回の対面で私に良い報告をするのために、自力で頑張るようになりました。仕事にも復帰して、私に仕事の相談などもするようになりました。
こうやって長い時間をかけてこのお嬢さんの洗脳は解けて、普通の社会人として自分で判断して暮らしていくことができるようになりました。
洗脳を解くことは一筋縄ではいきません。ただ、教祖の偶像を壊すだけでは、洗脳を解く前に本人が精神的に参ってしまいます。ですから私というダミーに一時的に依存させてから、自立できるように距離を離していくことが必要なのです。