霊が現れるとき、霊は本来の自分の姿で出てきます。本来の自分の姿とは死んだ時の自分の状態のことです。爆弾が目の前で爆発して死んだ兵隊の霊は、顔半分が吹き飛んだ状態で出てきます。虐待を受けて衰弱死した子供の霊はガリガリに痩せて頬っぺたもこけています。焼死した人の霊は、全身がただれて黒焦げになって出てきます。ただ、体の一部が無くなっているような死に方をした場合、欠損した部分が不自然につながっていたり、体の一部が無くなる前の状態で出てくることもあります。

 

処刑場で首を切り落とされた罪人の霊が、切り落とされた頭部を腕に抱えて出てくることはありません。首が不自然につながっていることがほとんどです。それが目の前で爆弾が破裂して全身がバラバラになって亡くなったような場合は、体をつなぐことがもう不可能なのか、死ぬ前の状態で現れてきます。

 

ただ、霊は肉体がないだけで生きている人間と同じように感情も好き嫌いもあります。そして、あの世へ上がって輪廻転生するという魂の定めから外れている彼らは、非常にずる賢く生きている人の弱いところを突いてきます。

 

非常に悪い不浄霊が生きている人間を呼び寄せてあの世へ引っ張り込もうとすることがあります。そんな時の霊の姿は、その人にとって最も弱い人に化けて出てきます。死んだ妻を忘れられない夫がいれば、亡くなった妻の姿で呼び寄せます。亡くなった父や母がずっと心に残ていれば、父や母の姿かたちで話しかけてきます。

 

以前、自殺の名所と言われた場所で亡くなった女性の家族から「死に至る本当の状況が知りたい」と依頼を受けて、なぜその女性が自殺したのかを霊視したことがあります。

 

自殺をした一番の理由は、自殺をした女性とその女性を呼び込んだ女性の霊の波長が近かったことです。それ以外にはそこで自殺をした人と呼び込んだ霊の年齢や死んだ時の状況も非常に近かったことです。自殺をした女性は20歳前後の大学生でした。霊もほぼ同い年で大学生でした。女性は2年間付き合った彼氏と別れたばかりでした。その理由は彼氏が他の女性を好きになったことでフラれてしまったことでした。この状況も霊が死んだ時と同じでした。

 

女性は彼氏にフラれた後に、何日間も泣き続けて、それでも何とか寄りを戻せないか考えていて、別れを受け入れることはまったくできませんでした。他の女性を好きになった彼氏を恨んでもいました。この状況も自殺した霊と同じでした。波長も近く、状況もここまで一緒ですと不浄霊から見て、この女性と同調して死へ誘い込むことはたやすいことです。

 

自殺した霊は死んだ後も、別れた彼氏に執着していてあの世へ上がろうとはしません。そして時間の経過とともに不浄霊になり現世にとどまり続けています。そんな不浄霊は女性の別れた彼氏の姿で女性の前に現れ、女性を誘って外へ連れ出したのです。そして不浄霊は自分が飛び降り自殺をしたビルの屋上まで女性を誘い、彼氏の姿で女性を屋上からジャンプさせたのでした。

 

女性の足が屋上から離れた瞬間に、彼氏の姿をした不浄霊の顔が一気に本来の姿に変わりました。それは顔から地面にぶつかった衝撃で原型をとどめないほどに変形した自殺した後の霊の姿でした。あの世へ呼び込まれたこの女性は、死の瞬間に自分が騙されたことに気づき唖然としたまま地面に激突して亡くなったのです。

 

霊の影響を受けるかどうかは、本質的にはお互いの波長が合うかどうかで決まります。ただ、気持ちが沈んでいたり、誰かを恨んでいる状況は、そうやって死んだ死者の霊と同調しやすくなるのです。