私は以前、四国で起こった交通事故を検証しました。片側2車線の直線道路で、乗用車が急にハンドルを左に切って、隣の車線を走っていた大型バイクにぶつかりました。バイクは転倒して運転していた青年は即死しました。
乗用車の運転者は、この事故の責任を問われて交通刑務所へ服役しました。そして仕事と家庭を失いました。
出所した運転者は、刑事上の罪は償いましたが、どうしてもこの事故に納得できずに、出所後にさまざまな専門家や霊能者に事故を見てもらいました。もっともわからなかったのは「隣の車線に大型バイクが並走していることが分かっていながら、直線の道路でどうしてハンドルを左に切ったのか」です。まるでわざとバイクにぶつけるように、車はバイクに当たっていたのです。
私は現地に立ってその時の様子を霊視しました。夜のとばりが落ちかけた夕方、仕事を終えた運転者が国道を通って家へ向かっています。その日は会社で上司から注意を受けていて気持ちはイライラしています。それでも運転は慎重で特にスピードを出しているわけではありません。その時です。
小学生ぐらいの男の子が助手席に現れると、両手を伸ばしてハンドルを握りました。そして前を見ている運転者を見たあと、笑いながらハンドルの左側を引き寄せて、車の向きを変えたのです。
車は隣の車線に入り、バイクにぶつかりました。バイクに当たった車のドアミラーが飛んで、バイクが倒れて斜めに横滑りしていきます。バイクの青年は体を投げ出されると何度か路上で回転して、そのまま動かなくなりました。
私の話を聞いた運転者は顔色が変わりました。私の話は、事故の実況見分書に書かかれていた内容と完全に一致していたとのことです。初めて納得のできる回答をもらったと言って、涙をこぼしていました。
この子供が助手席に現れてから事故を起こすまで、運転者の記憶が飛んでいたわけではありません。運転者も自分の運転する車が、隣の車線に入ってバイクにぶつけたことは認めています。ただ、この霊と波長が合った瞬間から、運転者の意識の上に子供の霊の意識が乗ってしまい、その間の体は、子供の霊に支配されてしまったのです。
私はこの運転者と二人で草の生い茂った国道わきの茂みの中を草をかき分けて探しました。すると草の茂みの中に世間から見捨てられたように、小さなお地蔵さんが倒れて転がっていました。近くの自動車修理工場の主人が、ここは直線道路なのになぜか事故が多いと話していました。
後日、私は再びこの現場に足を運び、お地蔵さんをきれいに洗ってあげて子供の霊の供養をしました。