今はネットにも大きく取り上げられて有名になった心霊スポットがあります。私もそこでかなり危ない経験をしましたので今回はそのことについて書きたいと思います。
”花魁淵”
私はその名前を聞くと今でも鳥肌が立ちます。かれこれ今から15年ぐらい前でしょうか。私は行方不明者の捜索を頼まれました。そんなとき、私は行方不明の方の遺留品や愛用品を手に取りその方の霊的な波長を感じ取ります。そして頭の中にレーダーのようなものを思い描き、その波長が東西南北のどの方向から発信されているのかを辿っていきます。警察犬が匂いを頼りに人を探すように、私もその人がどういう道筋を辿っていって今、どこにいるのかを探します。
その方は神奈川県から都内に入り、都内を何カ所かウロウロしたあと、中央線に乗って青梅まできました。そこから死に場所を求めて、国道411号線にそって奥多摩方面へ向かいます。私は彼の波長を感じながら車を走らせていました。そして、彼と同じように時々立ち止まったり、休憩したりしながら塩山方面へ向かっていました。
そのとき国道から川の方に伸びた細い道に私は入っていました。だんだん道が狭くなってきたので車を止めて歩いて彼の波長を辿りました。あたりはかなり山深く周囲には店舗も民家も見当たりません。私が大声で叫んでも誰の耳にも声は届かないような状況です。
その時です。私は背後に人の気配を感じて驚いて振り返りました。見るとそこには着物を着た髪の長い女性が体中から血を流して立っていました。うつむいていたこの女性は振り返った私を見ると、それに合わせるようにすぐに顔を上げました。血だらけの顔の中には、怒りや悲しみに満ちた鋭い眼光が光りました。その瞬間、
”持っていかれる”
私は自分の意識が飛びそうになるのを必死でこらえました。
私はすぐにマントラを唱えて彼女を祓おうとしました。見ると周囲には同じ時代の女性の不浄霊が同じように体中から血を流したままこちらをにらんでいます。その数はどんどん増えて、すでに20人を超えています。
~早くマントラを唱えなければ~
そう思えば思うほどマントラが出てきません。普段なら挨拶と同じように当たり前に言葉になっているマントラがこの瞬間、まったく浮かんでこないのです。
”パシンッ、パシンッ”
左手にしていた天眼石とルチルのブレスが一瞬ではじけ飛びました。
~こんなところでやられてたまるか~
私は焦りながらも体の中から怒りにも似た闘志が沸き上がるのを感じました。
私はこの状況を立て直すために両手ですぐに印を結び、頭に曼荼羅を思い描きました。
”三密加持です”(←興味のある方はネットで検索すれば出ています)
ご真言を唱えることはできませんが、今できることで対抗するしかないと腹をくくったのです。