人は死んで肉体が無くなると、魂は生まれた場所から亡くなった場所までを何度もたどりながら、自分の人生を総括して自分なりに納得できる答えを出します。そしてあの世へ上がり、生きていた時の記憶を消され、やがて来世へ生まれ変わります。これが魂の定めであり、輪廻転生のサイクルになります。
ただ、憎しみや恨み、嫉妬など、強い負の思いを抱いていたり、強い欲望から抜け出せなくて現世に執着したりするとあの世へ上がることができずに不浄霊となって現世にとどまります。
欲というものは非常に曲者です。人間には本能がありますし願望もあります。ブッダやキリストのように欲望から解脱できればよいのですが、それはほとんどの人間にとっては不可能です。生きているということ=命をつないでいくということ自体が欲なのかもしれません。ただ、その欲もあまりにも度を過ぎてしまうとそれが原因で不浄霊になってしまうこともあります。
私は以前、若い女性から
「色情霊に毎晩襲われている」
と相談されたことがあります。
彼女によると、夜になるとやってくるその霊はその女性の体を触ってきたり、体の上に載ってきたり、息を首筋に吹きかけてきたり、やりたい放題に彼女の体をもてあそんでいくということです。さらに朝、起きた時、自分ではまったく覚えがないのに全裸になっていたこともあったと言います。
私は深夜に彼女の部屋でこの霊を待ちかまえ、やってきた霊をズタズタに引き裂いて懲らしめました。そして室内に結界を張って、この霊が二度と彼女の部屋に戻ってこれないようにしました。
この霊は生きていた時には強い性欲が原因で、たびたび性犯罪を犯し、人生を棒に振っていました。そして肉体が無くなってもまだ女性を求める思いを自分で押さえることができずに不浄霊となってしまったのです。
物質欲や金銭欲もそうです。人間ですから欲があることはある意味当然ですが、人間にはそれを制御する理性も兼ね備えています。あまりにも欲望に振り回された生き方をしていると、輪廻転生のサイクルから外れ、生まれ変わることもできずに不浄霊となってしまうことさえあります。気を付けなければなりません。