時代劇の世界では、時の為政者を呪う怪しい修験者の集団が、山中にこもって呪詛の呪文を昼夜を問わず唱えているシーンをたびたび見かけます。実はこのようなことは、誰も気づかぬうちに現代でも行われていて、それが相手の心身や判断、行動に大きな影響を与えています。元々、人間の体は、心身ともに微妙なバランスで成り立っていますから、ちょっとしたきっかけでそのバランスは崩れます。その結果、精神的に不安定になったり、原因のよくわからない体調不良が何年にもわたって続くことがあります。
呪詛を行う場合、その根本には相手に対する強い負の思い(=憎しみ・怒り・嫉妬など)を抱いていることが前提になります。それが修験者(霊能者)の一団によって増幅されて大きなパワーを持って相手に飛んでいきます。これは(負の思い)×(増幅する力)の掛け算でそのパワーの大きさが決まってきます。
私は不倫をきっかけにして呪詛を受けているという女性から依頼を受けて、その方を守るために相手方の女性の住まいに結界を張って呪詛返しをしたことがあります。さまざまな思いの中でも恋愛に関係した”嫉妬心”はとても強いものです。生命や本能に近いところにある思いだからです。実際に私はさまざまな相談を受けていますが、健康や仕事やお金の問題を相談される方よりも、恋愛問題を相談される方は切羽つまっています。
「どうしても無理ですか」
「今すぐに何とかなりませんか」
私の回答に納得せずにそういった反応を見せる方は、恋愛問題を相談される方がほとんどです。
ですから呪詛の根本的なパワーとなる”負の思い”も、その内容が恋愛に関したものであるととても強力になります。
私が呪詛をブロックしたり、返したりするための作業を行うと、それを邪魔したり対抗するようなパワーがビュンビュン私に飛んできます。それは時に、刀のような鋭い切れ味で私の体を切り裂こうとしたり、米俵のような重さで私にのしかかってきたりします。これでは私の身が持ちません。したがってこういった作業をするときには、近くに安全地帯を確保してその中から作業を進めます。悪魔祓いで魔法陣を作ってその中から悪魔を祓うのと同じことです。
この安全地帯に私はよく車を利用します。車の中をお札や霊符、数珠やパワーストーンなどでガチガチに守り、その中から作業を行います。
ただ、一度、相当に強い呪詛に対抗して呪詛返しの作業を進めていた時に車が壊されたことがあります。こういったケースで車に異常が出ることはしばしばあります。今の車はコンピュータで管理されている精密機械です。前にも書きましたが、霊的なものの波長は電気の波長に近いのでそこに影響を出すことはある意味簡単なことです。
その壊れ方が尋常ではありませんでした。エンジンブロックの内部が損傷してしまったのです。キャビンの中は守っていてもキャビンの外は守れません。ただ、車のエンジンブロックはハンマーで叩いても壊れるものではありません。まさに鋼鉄の塊の中にシリンダーがあってその中でピストンが動いています。そのシリンダーの中が破損してしまったのです。
整備士は、「エンジンの外からではなく、中から力が加わったように壊れている。こんな壊れ方は見たことがありません」と首をかしげました。
霊的な力は普通では起こるはずのないことをいとも簡単に引き起こしてきます。