輝くもの



本作品は銀河の辺境にある「惑星ダミエム」という惑星を舞台にして物語が展開します。
オーロラが綺麗に見える前日、観光客が惑星を訪問することから事件が起こります。
その中では人間が今までやってきたであろう残虐性(さらに越えるかもしれません)が近未来の情景で描かれます。
生命体とはいつまで経っても変わらないのでしょうか。・・・そんなことはないと著者も主人公などで描いていると思います。


また著者による惑星に住む「ダミエム人」の描写は非常に克明に描かれており、その未知の生命体を想像することは非常に面白いです。
文体で表現されるその生命体の美しさといったら・・・。


本作品はSFでありながら、ミステリー的な要素を含んだ作品となっております。
SFで冒険をしているようなドキドキとは違った、ドキドキを味わえると思われます。


2008年1月某日 読了

カイト・ランナー


本作品は2007年に読了した中で一番心を打たれた作品ですので、あえて今回紹介します。

アフガン戦争・・・具体的な内容は知らなくても一度は耳にしたことがある方が多いとは思いますが、アフガン戦争を経験したアフガニスタン出身著者が描く、アフガニスタンの現実と主人公の愛、裏切り、懺悔、救済を描いた作品です。


大切な友人が痛い目に遭っているときに、見てみぬ振りをしてしまったことはありませんか。

または大きな嘘や小さな嘘を積み重ねていないですか。


そんな過去に負い目がある主人公。

贖罪しようにも戦争により、時と場所が離れていってしまう。

運命とは残酷なもので、一人の友人を通して贖罪のチャンスが・・・

昔の罪を思い悩み、羞恥し、受け入れる。そんな主人公の心の葛藤が繊細に描かれています。

罪を受け入れ他人に話すことは、非常に困難なことです。

昔の自分のした過ちを愛する人に話すことは、私は未だ出来ません。自分の心の弱さもあるでしょう。

但し、心の一部分で影を落としていて、都度都度私の心を痛めるものです。


その過ちを放置することは、後に引き換える代償が時が過ぎるにつれ大きくなるもの。


「カイト・ランナー」凧追い。

糸が切れた凧を一度は諦め、再度追って手に入れる物語。


2007年某月某日 読了


テメレア



ドラゴンを題材にしたファンタジーは数多く描かれていますが、「テメレア戦記」もその中の一つです。

私の少ない読書歴の中で、ここまでドラゴンを擬人化した作品は恐らくなかったと記憶しています。

仲間が傷つくと悲しみ、戦闘に出撃して心を痛めるというように人間より人間らしく描かれます。

ドラゴンは非常に知識が高い生物として描かれることが多いですが、人を忌み嫌うようなイメージが多かったので非常に新鮮な作品でした。


本作品の一番注目した点は、英国海軍の船長を務める人間「ローレンス」とドラゴン「テメレア」の間での種を超越した愛情と友情が描かれた点です。

自分にもドラゴンという相棒が欲しいなと思わずにはいられませんでした。


時代の背景は19世紀初頭のヨーロッパ。

実存する「ナポレオン・ボナパルト」なども登場する中で、ドラゴンはいわば飛行機のような戦闘兵器として活躍します。


現実と非現実が上手くマッチしたファンタジー。


尚、巻末のドラゴン図鑑もオススメですが、頭で想像している自分のドラゴン像を大事にしたい方は見ない方がいいでしょう。


2008年4月10日 読了

タフの箱舟


今回紹介する「タフの箱舟」は、人とは風体が違く感情を表に表さない「タフ」が様々な惑星が抱える問題点を自らの知恵と「方舟」を利用して解決していく物語です。

問題点を解決するまでの人間関係と交渉までの組み立てや、解決する際の痛快さは読んでいて人を飽きさせません。


SF小説とは、人の想像力に刺激を与えてくれるところが私は好きなのですが、本作品も例外に漏れず刺激を与えてくれました。

宇宙には多種多様な生物・惑星が存在し、生活習慣や考え方も全く違っています。

そんな異世界?のことを思いながら、読み耽るのは非常に楽しい時間です。


著者は地球にも近い将来訪れる危機を「タフの方舟」の小説の中で描き、解決方法を独自の理論で語っているのかなと想像しました。

顕著なのが「タフの方舟 2 天の果実」の最後の章の問題提起です。

読んで貰うとそれぞれに思うことがあると思います。

人の倫理を踏み越えて解決を図るべきなのか。無知は罪といいますが、無知が幸福になるときもあります。


2008年3月23日 読了