チルドレン

奇跡は起こせる?


本作品は家庭裁判所の現実を調査し、今の子供たちの現状を訴えている作品でもあると思います。
犯罪を犯し家庭裁判所に来る子供たちはそれぞれ問題を抱えています。
(問題といっても私たち大人の視点から見たことを指しているのかもしれません。)
そのような少年達と少年たちの保護・調査をする家庭裁判所の調査官を絡めて、本作品は展開していきます。


現実感が少し欠けている気がしますが、それを補えるキャラクターの個性が本作品にはあります。
無茶苦茶に振舞うようで子供のことを考えている調査官や真摯に子供たちに向き合い真面目な調査官など、作品にすっと吸い込まれていくようなキャラクター作りがされています。


作品の中で調査官は子供たちに翻弄され、また子供たちも大人たちに翻弄されて生きている姿が浮かび上がります。

それでも子供に希望を与えようと目に見えないところで行動をします。
奇跡は偶然ではなく、自らが起こすものだと本作品は語り、奇跡を実現させます。


小さい奇跡なら自分にも起こせる。そんな勇気を与えてくれた気がします。


2008年7月6日 読了

鼓笛


非現実の中の現実の探検


本作品はいくつかの短編からなり立っていますが、それぞれの短編は現実のようで現実ではない不思議な世界観を構築しています。
書名となっている「鼓笛隊の襲来」では、現実ではまるで台風が到来するかのような演出ですが、実際には鼓笛隊が本当に襲ってくるというとても不思議な世界です。
不思議な世界ではあるのですが、まるで現実で起こっているような感覚にさせてくれます。

そしてそれぞれのテーマでは、人が失くし始めている何かを描こうとしているのかなと感じさせてくれました。


またこの本を読みながら常に頭の中にあったことは、『パラレルワールド』というキーワードです。

実は自分が生きている世界とは違う別の世界があり、そこでの現実は私たちから見ると非現実的ですが、向こうの現実から見るとこちらの世界は非現実的な世界になるのでしょうね。


著者がそんな別の世界のことをノンフィクションで書いていたりしたら、非常に面白いですね。

そんな別の現実を探検してみたいと空想してしまった作品です。


2008年7月27日読了

音楽は時に人を揺さぶる。


舞台は1984年東ドイツ-冷戦最中の自由に発言する権利のない社会主義国家。

主人公は国家保安局の一員として国に従順であり優秀な調査官。

そんな彼がある芸術家の自宅を完全盗聴し、国家に悪影響を与える行動を取っていないかを調査します。

盗聴を続けるにつれ芸術家の思想に心を惹かれ、芸術家の読む本に触れ、芸術家の友を悼んで弾く「善き人のためのソナタ」を聴き、涙を流します。

そして主人公は国家と芸術家との間で激しく心が揺られていきます。そして自分自身の心にも。


血のないような人間が段々と芸術家に心を惹かれ音楽に涙をする。

感情を込めた音楽を本気で聴く時、人は心が揺れます。


「この音楽を本気で聴いた人は悪人にはなれない。」

映画の中でとても印象に残った言葉です。

私も思想を込めて作成した映画を本気で受け止めた時、心が震え体は鳥肌が立ちます。


本のブログですが、印象に残る映画を見たので書きました。


2008年6月29日

チーズ



変化することは楽しい。


人は変化することを恐れる時が往々にしてあります。
ただ自分で自覚(認めない)しないことが多いのです。


変化を恐れるあまりに事態が悪化して大切なものを失っていませんか。
自分の置かれてる状況を不幸だと思い、意気消沈をしていませんか。
そんな時にこの本を読むと少しでも考え方が変わる本だと思います。
短時間で読める本ですので、まずは一読されることをお勧めします。


仕事や私生活そして「本」でも新しい「チーズ」を見つけると人生が豊かなものになるのでしょうか。
本当にそうなのかと自問自答出来た本です。


2008年5月26日 読了

ヘミングウェイの書く作品は人や物の動きが手に取るように判ります。
物事への洞察の天才だったのだなぁと思わざるを得ません。


例えば、今、私はパソコンで文章を書いています。
上記の文章がヘミングウェイは、
外からの光により少し暗くなったディスプレイに向かって、頭から流れ出る思いをキーボードで叩いている。
真っ白な画面が、黒い文字で少しずつ埋まってくるのを見つめていると、まるで何かの紋様のようだ。
このような感じで兎に角細かく動作を書くことが多いのです。
(上記の子供の文章ではなく、ヘミングウェイは素晴らしい文章を書きます。)


短編は日常生活を描いたことや旅に出てそこでの生活を描いたりと物凄い盛り上がりや刺激があるという訳ではありません。
ある人物のある日常を切り取り作品が創られていきます。
その文章を読み何かを感じるかどうかはその人次第なのだなと改めて感じてしまった本です。


2008年5月23日 読了