滋賀県旧大郷村を舞台に役場の兵事係を中心としその周りの人々の生き様を描いたドキュメンタリードラマをみました。召集令状を届け、出征を見送る兵事係員の苦悩、そして令状を受け取った家族の心情、戦死を伝えられた悲しみ憤りなど見事に描かれたものであった。年代を追ってストーリーと平行して戦況を紹介していたのでわかりやすくはなってはいる。
ただ、それは徹底した民の視線によるものだ。戦争はいやだ、なぜ始めたんだ?大切な人が次々と亡くなっていくではないか、と訴えてくる。
なぜ始めたのか?
この点に注目した人はいるだろうか?
世界は混迷していた。
ヒトラーやムッソリーニはヨーロッパに脅威を与え、中国は共産党に国民党、その周辺民族による混乱状態、ソ連のスターリンは南下政策を進め、アメリカは中国での権益を求めている。しかも植民地時代はまだ続いている状態。
そんな中、日本が生き延びるためにはどうしたらいいか?国益を守るには?
第二次大戦の勃発はさらに日本を脅かす。
そうした背景をしっかりと踏まえた番組はないのか?
戦争はしたくはない
でも戦争しなくてはならない状況は起こり得るのである。
それでも戦いを放棄するか?植民地として日本の文化や国益などすべて手放すか?
故郷の人々、日本の文化、国益、そして将来を託して戦地に散った先人たちの思いに我が心を馳せる