警官に対して
怒鳴りちらす男の人
殴りかかりそうな勢いだけれど
警官は静かに聞いている

横を通り過ぎながら思う
何に怒っているのだろう
まわりを見渡せば
不安がる人々          

エレベーターを降りながら
売り場全体に声を響かせ
右か左かの思想をぶち撒け
批判する男の人

突如空気は侵され
灰色に変わる
この怒りのエネルギー大きさは
尋常ではない

夢で先生に怒られた
声は低くおさえ気味で
けれど怒りは怨念のように
私たちを取り巻いている

この灰色に変えられた
この空気を
無色透明には
できないものだろうか

私のこのちっぽけな肺では
どうにもならないだろうけど
それでもできることしか
やるしかなくて

あの警官のように
ただ静かに受け入れて
肺の中の灰がゆっくりと
下へと沈みきるまで