
クタクタになった帰り支度で
女子ロッカーで見つけた
コガネムシ
床にぐったりしてて
動かない
誰かにくっついて来ちゃったんだろうけど
こんなとこにいたら死んじゃうから
せめて外に出してやりたくて
拾いあげた
そばに来た女性は
目をまるくしながらお疲れ様をしてくれた
しばらくじっとしてたのに
元気を取り戻して
指を這いはじめて
飛び上がったよ
蛍光灯めざして
何度も何度も
体を打ちつける
自然光と勘違いして
なけなしの力を
振り絞って
本能のままに
光を求めているのに
かわいそうに
ただ体を傷つけながら
君が向かっているのは
偽物の光
ここには君の望む
生きる糧はなにも
ありはしない
地獄のようなところ
力尽きるまで
体を打ちつけて
ふと羽音が止まって
無音になった
かわいそうに
人の世の仕組みに翻弄されて
なにもわからないままで
力尽きようとしている
せめて虫の世界に
戻してあげたいから
辺りを見渡したら
ロッカーの上に止まってた
今度はどっかに行かないように
胸ポッケに入れておこう
お家に連れ帰って
果物をあげよう
最後は元気になって
おかえりなさい
君の生きる世界に
元にいた世界に

