井藤さんがカゴパクしたのかと思った瞬間 | 洋服直し屋の日常

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井藤さんがカゴパクしたのかと思った瞬間

近所に住む井藤さんは、体に異変を感じるとうちに来る。
インターネットで調べてほしいと言うのだ。

言われたとおりの病状を検索して、必要ならばプリントアウトする。
私が経験した病状ならば、改善方法などを助言することもある。

しかし、一度も私の助言が役に立った試しはない!

井藤さんは、訊くだけきいて
「ふう~ん、メンドーそう」 「ムリ!」でセルフケアを諦めてしまう。

先日のことである。
開店前、うちのまえの道をほうきで掃いていた。

井藤さんがやってきた。買い物にいくのだろ。見たようなカゴを押している。


                        


(私)
「うわ! とうとうカゴパクしたの?」

(井藤さん)
「カゴパクって何よ?」

「知らないの? スーパーがレジ袋を有料にしたので、カゴの中の商品ごと車のトランクに入れて、
自宅へこっそり持ち帰る。つまり、カゴをパクるってことよ。
あるスーパーでは1ヶ月で30個盗まれたって、嘆いていたわ。
テレビのニュース観てないのね。で、このカートとカゴどーしたの?」

「セットを12,000円で買った」
「なんで?」

「足がつまずくのよ」
「コレを買うまえに、足を治そうと思わなかったの?」

「足って治るの?」
「薬とセルフケアで治せるわよ、太ももの筋肉を強くするのよ。
あなたいつも家で何してんの?ウオーキングは?」

「猫と遊んでるだけ。運動は嫌い」

井藤さんはこんな感じの人である。
身長155cm、体重75キロくらい。3Lの中デブ。

「あなた、10~20年先まで、ずーとこのカートで買い物に行くの?
まだ60才でしょ、はずかしくない?
だんだん足の筋肉がやせ細って、歩けなくなるわよ。
10年後には寝たきりになるわよ」

「じゃ、どーすればいいのよ。太ももの筋肉を鍛えるってどーすんの?」

「まず家の中で、転ばないようになにかにつかまって、足踏みしなさいよ。
朝昼晩5分1週間。慣れてきたら10分に伸ばす。するとかなり筋力がつくから
そのカートで団地内2周、3周できるころにはもうカートは要らないわ」

「雨の日はどーすんの?」

「そんなこと知るか(激怒)!!!」             

                                             

                                                  

「足踏みなんてイヤダ」

向上心のかけらもない!努力もしない!
それを恥とも思わない!
これだけ何もないと逆にりっぱに見える。




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